米シンクタンクスティムソン・センターが31日(現地時間)に開催したウェビナーで、北朝鮮専門家のジェニー・タウン氏は、イラン戦争が北朝鮮に与える影響について「状況を複雑にしている要因はロシアだ」との見方を示した。

タウン氏は、北朝鮮が現時点でイランへの直接的な軍事関与を避け、慎重な姿勢を維持していると指摘した。対外的な発信も抑制的で、事態の推移を見極める構えとみられる。背景には、アメリカ合衆国との不必要な緊張激化を回避する狙いや、朝鮮半島情勢の安定維持を優先する判断があるとされる。

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一方で、北朝鮮とイランの間には弾道ミサイル分野などで長年の協力関係が指摘されており、専門家の間では、技術や物資の供給といった間接的な関与の可能性は否定できないとの見方が大勢を占めた。表立った軍事介入には踏み込まないものの、水面下での支援余地は残されているとの分析だ。

こうした構図を一層複雑にしているのが、ロシアの存在である。ロシアは北朝鮮との間で弾薬供給など軍事協力を深める一方、イランとも無人機供与などで関係を強化している。タウン氏は、ロシアを軸に両国が間接的に結びつくことで、「戦域をまたぐ形での連動が生じる可能性がある」と指摘した。

もっとも、ウェビナーでは、北朝鮮、イラン、ロシアが一体となった強固な同盟関係にあるわけではないとの見方でも一致した。各国とも利害や優先順位は異なり、北朝鮮にとっては体制維持が最優先課題であるため、過度な関与には慎重にならざるを得ないとみられる。

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その上で、専門家らは、イラン戦争が北朝鮮にとって一定の「機会」となり得る側面にも言及した。米国の関心が中東に分散することで、対北監視や圧力が相対的に弱まる可能性があり、その隙を突いてミサイル発射などの挑発行動に踏み切る余地が広がるとの指摘も出た。

今回の議論を踏まえると、北朝鮮はイラン戦争に直接関与しない一方、ロシアを媒介とした間接的な連関の中で影響を受ける構図が浮かび上がる。地域紛争が相互に連動する様相を強める中、今後のロシアの動向が朝鮮半島情勢にも波及する可能性が注視されている。