もっとも、防空を強化したとしても万能ではない。大量のミサイルによる飽和攻撃に対しては迎撃能力にも限界があり、完全な安全を確保することは困難とされる。このため、どこまで防護を厚くするかは費用対効果の観点からも難しい判断となる。
結果として、熊本では「攻撃能力は強化される一方、防御は限定的」という非対称な状況が生じている。専門家の一人は「標的化のリスクと抑止効果が同時に存在する構造であり、住民の不安は自然なものだ」と指摘する。安全保障環境が厳しさを増す中、地域住民の理解をどう得るかが課題となる。攻撃能力の整備が進む一方で、防空や避難体制といった“身近な安全”をどう確保するのか。熊本の事例は、日本の防衛政策が抱える課題を浮き彫りにしている。
