北朝鮮メディアが、金正恩総書記の娘・金ジュエの軍事訓練の様子を相次いで公開し、国内でさまざまな反応が広がっている。小銃や拳銃の射撃に続き、戦車を自ら操縦する姿まで報じられたことで、単なる同行ではなく「特別な存在」を印象付ける演出ではないかとの見方が浮上している。
父娘は19日、平壌の第60訓練基地を訪れ、歩兵と戦車部隊による協同攻撃訓練を視察した。とりわけジュエ氏が戦車を運転する映像は大きな注目を集めており、これまで公開されてきた射撃場面以上に関心が高まっているとされる。北朝鮮では通常、射撃訓練は16歳前後で初めて経験するため、住民の間では当初「幼い頃から訓練を受けているのだろう」と受け止められていた。しかし、戦車操縦は専門部隊に所属しなければ難しいとされ、今回の公開によって受け止め方は変化した。
背景には、指導者の幼少期の「非凡さ」を強調する従来の宣伝手法がある。
住民の間では、金正恩氏自身が幼い頃から射撃や運転に優れていたとする逸話が再び語られ、「娘も同様に天才性を示す存在として演出されているのではないか」との見方が出ている。こうした認識は、「幼少期から特別だった」とする将来の偶像化を見据えた布石と受け止められ、後継説とも結び付けられている。
(参考記事:【写真】普通の父娘関係なのか…波紋を呼ぶ金正恩と娘の異様な振る舞い)
もっとも、住民の多くは後継問題について依然として慎重だ。韓国側が「後継内定段階」と評価する一方、現地では息子の存在を含め情報が錯綜しており、確信には至っていない。ただし、指導者の子どもが後を継ぐという認識自体は広がりつつある。
一方で、若者層の反応は冷ややかだ。「訓練すれば誰でもできる」との声や、成熟した姿の演出自体に疑問を呈する見方も出ている。親世代が当局の情報を受け入れやすいのに対し、若者ほど批判的に受け止める傾向が強まっている点も特徴的だ。
