北朝鮮が従来の「公安」中心の統治体制から脱し、西側諸国に見られる「警察制度」の導入に踏み出す方針を明らかにした。体制のイデオロギー色を薄め、「正常国家」への移行を志向する一環との見方が出ている。
朝鮮中央通信によると、金正恩国務委員長は24日までに、前日に開かれた最高人民会議の施政演説で、警察制度について今後の会議で正式に審議する方針を示した。金委員長は「国家の内部安全と社会的安定を保障するための法的規制を完備し、効果的かつ実利的な機構体系と機能を確立する」と述べ、制度整備の必要性を強調。「警察制度の確立は国家運営の必須的要求だ」と指摘した。その上で「警察という言葉自体も問題ではない」とし、治安維持業務の高度化に向けた専門化の必要性を訴えた。
さらに、警察制度の導入により「法機関間の業務範囲を明確にし、相互連携と協力を円滑にする」とともに、「他国の警察機関との協力にも有利だ」と述べ、国際基準に沿った制度整備である点を強調した。
また、制度導入後は現在の治安機関である社会安全部隊を警察組織へ改編する準備を進める考えも示し、従来の公安体制の再編に踏み込む姿勢をにじませた。
今回の措置により、国家保衛省や社会安全機関、司法機関などで構成されてきた北朝鮮の公安・司法体制全体に変化が及ぶ可能性がある。関係筋によると、これまで国務委員会傘下とみられていた社会安全機関は、今回の最高人民会議を機に内閣へと編入されたとみられる。
一方、体制維持の中核を担ってきた国家保衛省については、「国家情報局」へと名称変更されたことも確認された。対内監視を担う機関を現代的な情報機関として位置づけることで、対外的な国家イメージの改善を狙った措置との分析がある。
韓国統一部は、今回の動きについて「情報機能の強化とともに、正常国家としての姿を示す意図がある」との見方を示した。
さらに、今回の最高人民会議では「社会主義憲法」の名称を単に「憲法」へと変更する方針も示され、イデオロギー色の希薄化を図る動きが鮮明となっている。
北朝鮮は第9回党大会以降、体制整備を進めており、第15期最高人民会議の構成に続き、各級機関や社会団体の再編も進める見通しだ。今回の警察制度導入の動きは、統治体制の再構築と対外イメージの刷新を同時に狙ったものとみられる。
