北朝鮮北部の中朝国境地域で、中東情勢をめぐる噂が拡散し、住民の間で不安が一段と高まっている。特にイラン戦争に関連し、北朝鮮軍の海外派兵の可能性に言及する声が出ているという。

デイリーNKの両江道の消息筋によると、同地域では最近、イラン戦争に関する情報が口コミや非公式ルートを通じて広がり、住民の関心が急速に高まっている。中国と接する国境地帯では外部情報へのアクセスが比較的容易で、海外情勢に対する感度も高いとされる。

消息筋は「住民は、イランで最高指導者が死亡した後も戦争が終わっていないとの話に驚き、戦闘の長期化に強い関心を示している」と指摘。その上で「特に兵役を控えた子どもを持つ親の間では、派兵につながるのではないかとの懸念が広がっている」と語った。

一方で、「ロシアでの戦闘も終わっていないのに、さらにイランにまで派兵するのか」といった警戒感も根強く、過度な憶測を戒める声も出ているという。

こうした不安の背景には、北朝鮮とイランの軍事的な協力関係があるとみられる。両国はこれまでミサイル技術や軍需分野で関係を深めてきたと指摘されている。一般国民にそうした情報が公開されているわけではないが、北朝鮮メディアはイラン側の視点に立った記事を数多く公開してきたので、住民の間で「関係が深いだけに無関係ではいられないのではないか」との見方が広がっても不思議はない。

(参考記事:第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘

さらに、ロシアへの派兵をめぐる住民感情の悪化も影響している。ロシア戦線での北朝鮮兵士の犠牲は皆が知っているが、その一方でロシアからの経済的対価も住民生活の改善として実感されていないとの指摘もある。物資不足や物価高騰が続く中で、「対外関与の成果が生活に反映されていない」との認識が広がり、世論の悪化につながっているとみられる。

消息筋は「住民の関心は結局、物価上昇や生計問題、そして派兵の可能性といった自らの生活に直結する問題に集中している」と強調。「当局がこれらを顧みず軍事力強化の宣伝に終始すれば、不満はさらに高まる」と指摘した。

軍事協力の拡大と生活苦の深刻化が並行していけば、体制と民心の乖離はいっそう鮮明になるかもしれない。