北朝鮮北東部の農村で、未利用地の配分を巡る競争が激化し、農民同士の衝突に発展する事態が起きている。住民の生活難が深刻化する中、わずかな収入源を巡る対立が表面化した格好だ。
咸鏡北道のデイリーNK消息筋によると、温城郡のある農場で先月末、「非耕地」と呼ばれる遊休地の割り当てを巡り、二つの農場員家庭が口論の末に暴力自体に発展、流血沙汰となった。事態の悪化を受け、農場管理委員会は両家庭を非耕地の配分対象から除外する措置を取ったという。非耕地は本来、水田や畑の間に点在する未利用地を指すが、近年は耕作が認められ、事実上の農地として活用されている。大豆やトウガラシ、キビなどの作物が栽培され、収穫物は農場の運営費に充てられるほか、一部は農場員にも分配される。
さらに一部では、非耕地を個々の農場員に割り当て、収穫物の半分を納めれば残りを個人収入とできる仕組みも広がっている。このため、より条件の良い区画を巡る競争が激しさを増している。(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為)
消息筋は「農場ごとに差はあるが、非耕地の面積はおおむね1000坪程度に上る」とした上で、「商売ができない農場員にとって、非耕地の耕作は生存に直結する問題だ。農繁期が近づくと、少しでも良い場所を得ようと神経をとがらせる」と指摘した。すでに配給制度の崩壊した北朝鮮の農村では、人々は何らかの方法で現金収入を得て、市場で必要なものを買わなければならない。非耕地は、そのための数少ない手段のひとつなのだ。
今回の衝突も、収穫効率の高い区画を巡る争いが背景にあるとみられる。暴力沙汰に発展したことで両家庭は一時的に配分対象から外され、問題の区画は別の農場員に回る可能性が高い。
ただ、非耕地を失えば生活が立ち行かなくなるとの事情もあり、最終的には当局が配分を再開するとの見方も出ている。農場側は当面、規律維持の姿勢を示しつつも、現実的な対応を迫られているとみられる。
