北朝鮮で、金正恩総書記の娘・金ジュエ(主愛)氏に対する“帝王学”が着々と進められているのかもしれない。核とミサイルを国家の柱とする北朝鮮で、少女が軍事の最前線に立つ光景が、いま当たり前のように映し出されている。
金正恩氏は3月10日、新型駆逐艦「崔賢」号から発射された戦略巡航ミサイルの試射を参観した。この試射には、米軍によるイラン最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師への「斬首作戦」後、初めての軍事活動として金ジュエ氏も同行した。とりわけ注目されたのは、ジュエ氏がミサイル発射の瞬間、拳を握りしめてガッツポーズをする場面が映し出されたことだ。
実は、その1週間前の3月4日、金正恩氏自身も崔賢号のミサイル発射の瞬間に拳を握る姿が報じられていた。父娘が同じ仕草で発射を見届ける様子は、まるで同じ“軍事演出”を共有しているかのようにも映る。(参考記事:【写真】金正恩父娘“恋人のような密着シーン”に北朝鮮内部から「おぞましい」との違和感も)
さらに3月11日には、金正恩氏が軍需工場を視察し、ハンドガンを手に射撃する様子も公開された。2月には、ジュエ氏がライフルを撃つ場面も報じられている。こうした一連の映像は、単なる軍事行事の紹介というより、後継者教育の過程を示しているようにも見える。
北朝鮮は金日成、金正日、金正恩と3代続く世襲体制の国家だ。核とミサイルを体制の柱とするこの国において、後継者候補が軍事の最前線に立つ姿を示すことには強い象徴的意味がある。
しかし、米国がイランの最高指導者を標的とした攻撃を行った直後という国際情勢の中でも、金正恩氏が実の娘を軍事イベントの前面に立たせていること強い政治的メッセージが込められている。
体制の強硬姿勢を誇示すると同時に、「白頭血統」の継承を国内外に印象づけようとする政治的演出――。父の隣でミサイル発射を見届け、拳を握る少女の姿は、北朝鮮の次の時代を暗示する象徴的な光景なのかもしれない。
