北朝鮮が大型ミサイル艦の建造構想を進めている可能性が浮上した。国営の朝鮮中央通信が11日、朝鮮人民軍海軍の新型駆逐艦「崔賢」号による戦略巡航ミサイル試射を報じた際、金正恩総書記が将来建造する艦艇について「5000トン級と8000トン級の駆逐艦」に言及したためだ。専門家の間では、北朝鮮がミサイル搭載数を重視した大型水上戦闘艦、いわゆる「アーセナルシップ(兵器庫艦)」型の戦力を志向しているのではないかとの見方が出ている。

朝鮮中央通信によると、金総書記は今後建造する駆逐艦の兵装構成を再検討するよう指示。5000トン級や8000トン級の駆逐艦では艦上自動砲の代わりに「超音速兵器システム」を追加配備し、艦対艦および戦略攻撃能力を高める方が有利だとの見解を示した。さらに、この兵装構成案を「第3号艦から具現すべきだ」と強調したという。

北朝鮮海軍の従来の主力水上戦闘艦は、1500~2000トン級のフリゲートが中心とされる。代表例としては羅津級フリゲートや豆満江級フリゲートなどが知られる。これに対し8000トン級は、海上自衛隊のあたご型護衛艦や韓国海軍の世宗大王級駆逐艦に近い規模で、北朝鮮の従来艦艇を大きく上回る。

仮に8000トン級の建造が実現すれば、北朝鮮海軍史上最大の水上戦闘艦となる可能性が高い。専門家は「大型化の最大の狙いはミサイル搭載数の拡大だ」と指摘する。艦体が大型化すれば垂直発射装置(VLS)を多数搭載でき、巡航ミサイルや対艦ミサイル、将来的には極超音速兵器などを集中配備できるためだ。

こうした艦は、通常の艦隊戦よりも遠距離からのミサイル攻撃を主目的とする「アーセナルシップ」と呼ばれるコンセプトに近い。米国でも1990年代に同様の構想が検討されたことがあり、大量のミサイルを搭載して飽和攻撃を行うことを想定していた。

北朝鮮は近年、巡航ミサイルや極超音速兵器など多様な打撃手段の開発を進めており、海軍艦艇もこれらの発射プラットフォームとして活用する構想がうかがえる。今回の試射でも、艦に電送された目標情報に基づき戦略巡航ミサイルを発射したとされ、艦艇をネットワーク化された打撃戦力として運用する意図がにじむ。

もっとも、北朝鮮が実際に8000トン級の大型駆逐艦を建造できるかについては疑問視する声も少なくない。大型艦に必要な推進装置や高性能レーダー、防空システムなどの確保は容易ではないためだ。

それでも、今回の発言は北朝鮮が従来の沿岸防衛中心の海軍から、ミサイル火力を軸とした打撃型海軍への転換を模索している可能性を示すものとして注目されている。専門家は「実現性は別として、北朝鮮が海軍を戦略攻撃の一翼として位置付け始めていることは確かだ」と指摘している。