ウクライナ軍が昨年1年間にロシア製の防空システム「パンツィリ」を集中的に破壊し、戦果を拡大させていた実態が、欧米メディアやウクライナ当局の発表によって明らかになった。
ウクライナ保安庁(SBU)は、2025年を通じてロシア軍が保有するパンツィリの約半数を破壊または無力化したと公表した。パンツィリは短距離地対空ミサイルと機関砲を一体化した複合防空システムで、ロシアが「近接防空の切り札」として輸出も進めてきた主力装備だ。しかし実戦では、小型で低速の無人機を十分に探知・追尾できず、複数目標への同時対処能力も著しく限定的であることが露呈した。迎撃率はカタログ性能を大きく下回り、安価なドローンの群攻撃によって容易に飽和状態に陥る様子が、数多くの撃破映像とともに確認されている。
この「神話崩壊」は、北朝鮮にとっても看過できない意味を持つ。北朝鮮が建造中の新型駆逐艦には、パンツィリと酷似した艦載型防空システムが搭載されている。短距離ミサイルと機関砲を組み合わせた構成やレーダー配置は、ロ朝間の軍事技術協力を強く示唆するが、そのモデルとなった兵器の性能が実戦で否定された以上、北朝鮮艦の防空能力にも根本的な疑問符が付く。(参考記事:【写真】敵よりロシア軍を「火の海」にする北朝鮮のトンデモ兵器)
北朝鮮はロシア西部クルスク州への派兵を通じ、数千人規模ともされる死傷者を出したとみられている。前線に投入された部隊は激戦に巻き込まれ、戦死通知の増加に国内では動揺が広がっているとの情報もある。こうした「血の代償」と引き換えに、北朝鮮はロシアから軍事技術や装備の供与を引き出したとされるが、その成果物が、すでに戦場で通用しない「ポンコツ兵器システム」であるとすれば、事実上の“詐欺的取引”との批判は免れまい。
もっとも、北朝鮮も同様に不良弾薬をロシアに供給してきた経緯もあり、どっちもどっちと言えば言えるのだが。
(参考記事:【写真】「北朝鮮の不良弾薬が暴発し吹き飛ぶロシア兵」衝撃の瞬間)いずれにせよ、「大量・低コストの無人機による飽和攻撃が主流となる現代戦において、高価な迎撃兵器で対抗する従来型防空は、もはや構造的に不利な立場に置かれているとされる」と、ある韓国の専門家は指摘。「ドローン戦争に適応できない防空システムは、実戦では標的に過ぎない」とも言う。ロシアが誇示してきた軍事技術の限界が露呈する中、それに依存する北朝鮮の軍事近代化も、根底から揺さぶられていると言えるのではないか。
