北朝鮮が朝鮮労働党第9回大会を前に、平壌・和盛(ファソン)地区で進めてきた「4段階1万世帯住宅」建設の完工を国家的成果として大々的に宣伝する一方、その裏で過酷な工事環境により、多数の建設労働者が体調を崩し、倒れる事態が相次いでいたことが分かった。複数のデイリーNK内部情報筋が明らかにした。
北朝鮮当局は、党大会の日程に合わせる形で、極寒の冬季にも工事を中断せず続行。外壁を薄膜と防水シートで覆い、内部を加温しながら左官や塗装、タイル貼りを強行した結果、暖房用燃焼ガスや化学物質が室内に滞留し、深刻な酸欠状態が発生したという。現場では換気がほぼ不可能な状態で作業が続けられ、労働者の間ではめまいや呼吸困難を訴える例が多発。それでも建設指揮部は工程の遅れを恐れ、十分な対策を取らず、作業続行を命じたとされる。
情報筋は「ガスと刺激臭で息が詰まり、頭がくらくらして、1日に何人も倒れた。倒れた作業員は外に運び出され、地面に寝かされるか、宿舎で少し休まされるだけだった」と証言。「症状が重くても、医療処置はほとんどなく、キムチ汁に調味料を溶かして飲ませる程度だった」と語る。
こうした労働環境は、北朝鮮の建設現場では常態化している。納期最優先の工事体制の下、十分な休息や安全管理は後回しにされ、労働者の健康や人権が軽視される構造が繰り返されてきた。
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工事は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と娘ジュエ氏が出席し、故金正日総書記の誕生日にあたる今月16日に盛大な完工式が行われた。しかし、実情を知る住民の間では「建設労働者の犠牲の上に成り立つ政治ショー」との冷ややかな声が広がる。
さらに、完工式のわずか2日後には、隣接する5段階工区の着工式が実施され、住民の疲弊感はいっそう強まった。情報筋は「一度の工事で体を壊すほどなのに、何年も続けて建設が繰り返される現実に、皆がうんざりしている」と語っている。
