韓国航空宇宙産業(KAI)が開発・輸出を進める軽戦闘機FA-50に、欧州製の長射程空対空ミサイル「ミーティア」や「ミカ」を搭載する可能性があると、ウクライナの防衛専門メディア「ディフェンス・エクスプレス」が14日に報じた。しかし、防衛関係者の間では、この報道は技術的実現性よりも、米国製ミサイルAMRAAMの統合に苦慮するKAIが、交渉を有利に進めるために欧州メディアを通じて発信した“営業トーク”の性格が強いとの見方が広がっている。
FA-50の最新型であるブロック20は、米レイセオン製AESAレーダー「ファントムストライク」を搭載する。AMRAAMの統合は当初計画されていたが、米国の輸出管理手続きや技術審査の長期化により、実用化は遅れている。とくに最大導入国であるポーランドでは、BVR(視程外射程)能力の欠如が運用上の制約となり、早期の統合を求める声が強い。こうした状況の中で浮上したのが、欧州ミサイルへの対応検討という報道だ。しかし、米国製レーダーと欧州製ミサイルの統合には、双方の核心技術に踏み込む必要があり、政治的・技術的ハードルは極めて高い。防衛産業関係者は「実現性は極めて低く、現実的には交渉カードとしての意味合いが大きい」と指摘する。
背景には、KAIが米国政府に対し、AMRAAM統合承認を早期に得たいという切実な事情がある。「欧州製に切り替える可能性」を示唆することで、米側に判断を急がせる狙いがあるとみられる。また、欧州市場向けには「米国依存からの脱却」を印象づけ、販売競争力を高める効果も見込める。(参考記事:韓国大統領が暴露してしまった「国産新鋭戦闘機」の致命的弱点)
一方、米国にとってAMRAAMは戦闘機輸出戦略の中核をなす存在であり、欧州製ミサイルの普及を後押しする合理性は乏しい。とくに長射程のミーティアは戦略兵器に近い位置づけで、米国が統合に協力する可能性は低いとされる。
防衛専門家は「今回の報道は、技術的挑戦というより、兵器輸出を巡る駆け引きの一環」と分析する。FA-50を巡る欧米間の綱引きは、軽戦闘機市場を舞台にした新たな主導権争いの様相を呈しつつある。
