北朝鮮の金与正・朝鮮労働党副部長は、「平壌無人機侵入事件」をめぐり、韓国との関係を断ち切る姿勢を改めて鮮明にした。10日に発表した談話では、韓国から飛来したとされる無人機の領空侵犯を「重大な主権侵害」と断定し、再発時には「重大な結果」を招くと警告した。一方で、表現には一定の抑制も見られたことから韓国側が色めきだった。
一部の韓国当局者は、「非難も一種のコミュニケーション」「対話の余地がある」、すなわち金与正氏が本音では南北対話を望んでいると解釈した。しかし金与正氏は13日、即座に反発し、緊張緩和や意思疎通は「全部実現不可能な妄想」だと強く否定した。
13日の談話からは、韓国への強い苛立ちがにじむ。10日の談話で、軍事行為か民間人によるものかを問わず韓国政府に責任があると明言していたにもかかわらず、それを対話のシグナルと都合よく解釈されたことへの反発だ。とりわけ、「朝韓関係改善」という韓国側の期待を「むなしい夢」と切り捨て、中国や日本を訪問した李在明大統領の外交努力をも皮肉る表現が目立った。
金正恩総書記は2023年末以降、韓国を「統一の対象ではなく敵国」と位置付け、断韓・拒韓路線を明確にしている。金与正氏の強硬発言は、その方針を忠実に代弁するものだ。同時に、北朝鮮内部で「関係改善への期待」が広がることを未然に防ぐ狙いもある。対話を全面否定することで、住民や幹部の認識を引き締め、韓国を敵とする構図を再確認させる意図が透けて見える。
金与正氏の談話で示された北朝鮮の断固とした拒絶姿勢を前に、韓国側は「対話」を口にする以外に有効な手立てを持てず、現実にはなすすべのない立場に追い込まれている。
