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北朝鮮は世界最悪の人権侵害国と呼ばれるが、コロナ禍以降にさらにひどくなったとの証言が公にされた。

国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)と、韓国のNGOの転換期正義ワーキンググループ(TJWG)は今月5日、「新型コロナ関連の抑圧の実態に関する脱北者の証言」という内容の文章を公開した。これは、2020年から2023年の間に脱北した3人の男性と5人の女性と行った面接調査に基づくものだ。職業は商人5人、漁師2人、工場労働者1人だ。

脱北者Aさんは北朝鮮にいた頃に漁師だったが、北朝鮮当局は2020年末、漁業を禁止する措置を取った。

北朝鮮当局は、新型コロナウイルスが輸入品、野生動物、鳥類、雪、黄砂からも流入する可能性があるとして、海上を含めた国境を閉鎖。違法な越境者を見つければ、その場で射殺して構わないとの指示を国境警備隊に下した。

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地方で漁をしながら生計を立てていたヨンチョルさんは、こう証言した。

「(当局は)海岸への立ち入りを禁止しました。何かが打ち上げられていても、新型コロナに感染するおそれがあると言って、拾うのを禁止しました。海に近づくだけで敵扱いされました。当局の人間は、動物が入ってくると新型コロナを持ち込み、人間に感染させる可能性があると言っていました。動物が入ってこないように、(国境の)フェンスに電気を流すようになりました。(停電が多いので)嘘だと思いましたが、(フェンスに流す)電気はあったようです」

禁を破って漁に出た隣人が逮捕され、教化所(刑務所)送りになり、家の玄関に「反逆者、接近禁止」との張り紙が貼り出された。食べ物を得られなくなったAさんは脱北を決意したという。

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北朝鮮はコロナ禍の中、公開処刑で恐怖を煽り、統制を強化した。それにより、既にひどかった人権状況がさらに悪化したと両団体は指摘した。非公式な越境や国内移動、無許可の海外メディアへのアクセスなど、それまでは比較的軽い罪とされていたものを、重罰化した。

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2020年に制定した「反動思想文化排撃法」は、韓流コンテンツをターゲットにしたものだが、これを根拠に、K-POPや韓国映画を回し見したとの理由で銃殺された人もいた。

北朝鮮当局はこの間、韓国ドラマを見たという理由で10代の少女らが公開裁判にかけられて泣き崩れる映像を制作・公開し、国民の恐怖を煽った。映像に登場した女子高生のひとりは、無期の労働教化刑(無期懲役)を言い渡された。食糧事情と衛生環境が劣悪で、虐待と性暴力がはびこる北朝鮮の刑務所で、10代の少女が生き延びることは極めて難しい。「遅効性の処刑」と言い換えても過言ではない。