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経済難が深刻化する北朝鮮で犯罪が増えている――かねて伝えられていた情報だが、その事実を示す証拠を、北朝鮮当局が公開していた。

韓国の公共放送KBSは今年9月、北朝鮮内部で作られた国民向けの防犯教育用映像を入手して放映していた。

それを見ると、経済難が深まる北朝鮮で、各種の犯罪が増加し、ヤクザ勢力までが台頭していることがわかる。また、売春を行う18歳から21歳の女性や、薬物を使いつつ売春を斡旋する男性など、摘発された人が次々に登場する。

特に深刻と見られるのは売春の低年齢化だ。実際、北朝鮮当局は大規模な売春組織を摘発した前例がある。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道によれば、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)では2年前の7月に現地の安全部(警察)と青年同盟が合同で駅前や公園、路上での客引き行為に対する集中取り締まりを行った。

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現地住民によると、「安全部と青年同盟が合同で行った咸興駅前周辺での取り締まりでは、1日で34人の女性が捕まった。まだ10代の少女も含まれていて地元社会にショックを与えた」という。

金正恩政権は売買春に対して極刑を下すなど、かなり強硬な取り締まりを行ってきた。それでもこうした現象が減るどころか増えるのは、それほど生活が厳しいためだろう。

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

住民はさらに、「夜になると、咸興駅前で列車の出発を待っている男性らに性売買を持ちかける女性らが、以前よりかなり増えた。夜だけでなく、駅前では昼にもそういった女性の姿を見かける」と話した。

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こうした情報に接して懸念されるのは、北朝鮮での性売買には往々にして、覚せい剤の乱用が絡んでいるということだ。いったん常用者になってしまったら、当局の摘発を受けても抜け出すのは難しい。まさに社会を長期にわたって蝕む「強毒性」の犯罪と言える。

こうした性売買に10代の少女が身を投じているとの情報はほかにもある。

北朝鮮の平壌市安全局(警視庁)は咸興での摘発と同時期に、全国の大都市で組織的な「性売買クラブ」を運営してきた組織を摘発し、関係者ら30人を逮捕した。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

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平壌のデイリーNK内部情報筋によると、逮捕されたのは組織のトップである40代男性のA氏ら30人。すでに極刑に処されたと見られている。

彼らは、平壌郊外の物流の拠点である平城(ピョンソン)、全国第2の都市である咸興、貿易都市の新義州(シニジュ)と元山(ウォンサン)、黄海北道(ファンヘブクト)沙里院(サリウォン)の5都市に拠点を置き、派遣型の性売買組織を営んでいた。

そして、この性売買ネットワークに網羅された女性らの中に、やはり10代の少女が含まれていたのだ。

一連の摘発は、人々の行動が極端に統制されていたコロナ禍の中でのことだ。それにもかかわらずこうした現象が見られたということは、自由度の増した現在の状況がどうであるかは想像に難くない。