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韓国紙・中央日報は今年2月25日、英大衆紙デイリーメールの報道を引用し、北朝鮮の金正恩総書記(国務委員長)の「息子」について次のように伝えた。

英大衆紙デイリーメールが23日に伝えたところによると、チェ・スヨンと名乗る元韓国国家情報院職員が北朝鮮消息筋の話として「長男の容貌が身体的に魅力的でなく金委員長が息子を大衆の前に公の席に出さずにいる」と主張した。
チェ氏は「ふくよかで栄養状態が良く見える父や妹と違い、(金委員長の)息子は青白くやせているという。息子は曽祖父である金日成(キム・イルソン)主席と全く似ていないと聞いた」と話した。

この報道は、一部で金正恩氏の後継者候補を巡る新情報として注目された。もっとも、チェ・スヨン氏のこのコメントは、韓国の英字紙であるThe Korea Timesの昨年11月21日付の記事が初出で、このとき新たに出たものではなかった。

ただし、各方面の北朝鮮専門家の情報を総合すると、どうやら息子が実在する可能性は高い。また、「結局は娘ではなく、息子が最有力候補だ」とする見方も根強い。

いずれにせよ、後継者が決まるのは、まだ幼い娘や息子(いるならば)に権力を継ぐ「資質」があるかどうかが見極められてからだろう。その資質には様々な要素が求められるが、独裁体制を維持する上で欠かせないのは「恐怖政治」の主導者としての適性だ。

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さらに、独裁者にはある種の「神秘性」も求められる。北朝鮮の金王朝は血統により維持されており、国の指導者になれる理由は「家族だから」というのが最大のものだ。

しかし、国民や国際社会に向かって、世襲体制をおおっぴらに認めるのは都合が悪い。そんなことをしたら、「朝鮮民主主義人民共和国」という、実態からかけ離れた国名を維持するのもさすがにバカバカしくなる。

そこで必要になるのが、権力継承の正統性を装う「理由作り」だ。つまり、「このお方は幼少からこんなに立派だったので、権力を継ぐのが当然だ」というストーリーをでっち上げるのだ。

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その一方で、本人が犯した愚行の数々を隠蔽するのは言うまでもない。

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これをやるためには、後継者候補をあまり若い頃から人目にさらさない方が得策とも言える。

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金正恩氏の息子が仮に実在するのならば、どのような「神秘性」をまとって登場するのか、楽しみではある。