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金正恩朝鮮総書記の娘が北朝鮮メディアに初登場してから、先月19日で2年となった。この間、30回を超す公開活動が伝えられ、注目度が高まっている。

今年8月には軍の式典では叔母である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長に座席へ案内される様子が確認されたことなどから、父親の後継者説も力を帯びている。

しかし、本当に権力を継承できるかは「その時までわからない」というのが筆者の立場だ。彼女が権力を継承するには、越えねばならない関門が多く存在するからだ。

韓国SBSニュースは4月5日、金正恩総書記が娘とともに視察した軍の空挺部隊の3月15日の降下訓練で事故が発生し、十数人の死者を含む数十人の死傷者が発生したもようだと報じた。

(参考記事:【画像】「炎に包まれる兵士」北朝鮮 、ICBM発射で死亡事故か…米メディア報道

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SBSで北朝鮮問題を専門とするアン・ジョンシク記者は番組で、朝鮮中央テレビの映像を示しながら、次のように解説した。

「風が強く吹いており、軍人たちが輸送機から飛び降りるやいなや、パラシュートがほぼ水平方向に飛んでいくのを見ることができます。このように強風の中で降下したため、所々、パラシュートが絡まっているような様子が見えます。また輸送機の前方部分に人が引っかかったような姿も見えています」

このような場面を目の当たりにしたとしたら、彼女のメンタルにネガティブな作用があったのではないかと懸念される。

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しかし、独裁者への階段を踏んでいくのだとしたら、この程度の体験では済まされない。父の金正恩氏は、大口径の対空機銃で人体を吹き飛ばすという、金日成・金正日時代にも見られなかった処刑方式を「発明」した人物である。

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

そうした彼の残忍さが恐怖政治にさらなる力を与えているのは、疑いようがない。

そのように維持されてきた体制を継承するには、ある程度、暴力の適性が必要になる。後継者はそれを証明してこそ自らの身の安泰も保障されるのだ。しかし現時点において、北朝鮮で目下「ナンバー2」の位置にあると見られる金与正氏ですら、それを証明したとは言えない。

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金正恩氏の娘が生まれつきの「暴君」であるならいざ知らず、権力の階段を上がるに従って目撃せざるを得ない凄惨な現実に、そのメンタルは耐えられるのだろうか。