米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、ウクライナ軍の情報機関が、北朝鮮軍の部隊がウクライナとの国境に隣接するロシアのクルスク州の戦線に到着したと声明で明らかにしたと報じた。声明は、3人の将軍、500人の将校を含む約1万2000人の兵士が、ロシアの5か所の基地で訓練を受けているとしている。
一方、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、今回の北朝鮮からの兵力の派遣について、ロシア国内での徴兵がうまく行っていないからという現地住民の声を取り上げた。
ウラジオストクのある住民は、軍服を着た北朝鮮兵士の動画が地域で広がっているとして、その理由として「ロシア国内での徴兵の困難さ」を挙げた。
ロシア軍は、多額の報奨金を出して軍への招集に応じるように呼びかけているが、誰も応じようとしないという。また、侵攻初期には自主的に応じる人もいたが、今では徴兵の対象となる若者はほとんどが出国してしまい、残っているのは女性ばかりだとも述べた。
(参考記事:【写真】「北朝鮮の不良弾薬が暴発し吹き飛ぶロシア兵」衝撃の瞬間)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面その穴埋めに利用されているのが北朝鮮の兵士たちで、現地住民の間では、金正恩総書記を「自国の軍人を死の戦場に追いやった非情な統治者」と非難する声が上がっているという。
別の住民も、徴兵がうまく行っていないことを伝えた。
「ロシア政府は『行こう、祖国のために』と呼びかけているが、若者たちは徴兵に応じようとしない。入隊して腕や足を失っても生きて帰って来られたらまだマシで、戦死する人も少なくなく、誰もが徴兵から逃げている」(住民)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ロシア政府は、徴兵の対象を20代から40代まで拡大し、兵役の期間を従来の20カ月から戦争終了まで延長した。また、3万ルーブル(約4万7000円)だった月給を、20万ルーブル(約31万5000円)に大幅に引き上げ、入隊時には70万ルーブル(約110万円)の一時金を支払うことにした。通り沿いに設置された大型広告にもこの額が明記されている。
それでも全く効果がなかったため、北朝鮮の兵士が投入されるということだ。これに対して現地住民からは「気の毒だ」との声が上がっているとこの住民は伝えた。
(参考記事:金正恩命令も完全無視…ウクライナ派兵「特殊部隊」のグダグダな実態)なお、モスクワ市のソビャーニン市長は今年7月、自発的に軍に入隊する市民に対して平均月給の10倍以上の月給70万ルーブル、入隊時の一時金として200万ルーブル(約315万円)を支払う法令を出した。また、戦死した場合には遺族に最高で300万ルーブル(約469万円)の補償が支払われる。