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韓国の公共放送KBSの報道によれば、北朝鮮当局は最近、10代を含む若い女性らの性売買が増えているとして、国民に警鐘を鳴らしているという。

北朝鮮では、1990年代の未曾有の食糧危機「苦難の行軍」のころから、生き抜くために売春を行なう女性が現れたと言われている。食糧事情が落ち着いた後も、売春はなくなることはなく、組織化されたビジネスとなった。

金正恩総書記は政権の発足当初から、ブローカーらを処刑するなどの強硬策をもって売買春の撲滅をはかってきた。

今は韓国のソウル近郊に暮らす脱北男性のA氏によれば、今から約5年前、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の咸興(ハムン)でも厳しい取締りが行われ、大規模な組織が摘発されたという。

その組織は、人の出入りが外からは見えない回廊式のマンション1棟を丸ごと売春宿に仕立て上げ、駅前から車で客の送迎を行うなどして荒稼ぎをしていたという。もちろん、社会安全部(警察)や保衛部(秘密警察)の幹部にワイロをつかませて身の安全をはかっていたのだが、どうやら目立ちすぎてしまったようだ。

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用心棒であるはずの当局幹部に裏切られ、マンションに住み込んでいた女性12人と男性従業員らが一網打尽にされたという。特に、男性従業員は激しい拷問を受けてスポンサーであるトンジュ(金主)の名前を吐かされた。トンジュはただちに処刑され、従業員は無期懲役になったという。

(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為

続いて女性らの公開裁判が行われ、やはり死刑判決が下された。北朝鮮の死刑囚は、刑執行の間際に反体制的な叫び声を上げられないよう、口に砂利を詰められた上で猿ぐつわを噛まされる。この女性らも同様の姿で刑場に引き出され、杭に縛り付けられた。

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ところが、そこでどんでん返しが起きた。金正恩氏の「緊急命令」が伝達され、生活苦の中で体を売らざるを得なかった女性らには罪がないとして、刑執行が取り消されたのだ。

これを受け、当の女性らやその家族が感涙にむせんだのは言うまでもない。

金正恩氏は、自らの「慈愛の深さ」を強調するために、こういった「芸」をちょくちょくやる。きわめて悪趣味と言わざるを得ない。

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

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A氏は「そもそも売春が死に値する罪であるのか疑問だ。こうして許すことができるのなら、他の人々にも極刑など下してはならない。金正恩は人の命をおもちゃにしている。本人は慈愛を見せつけているつもりなのかもしれないが、むしろ残忍な本性を引き立てる効果を生んでいる。そのことに、本人だけ気付いていない」と吐き捨てるように語っていた。