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韓国に程近い北朝鮮・黄海北道(ファンヘブクト)鳳山(ポンサン)郡の教育図書出版社は、いつの間にかカエルの養殖場となっていた…

そうした実態を告発したのは、なんと北朝鮮で制作されたドキュメンタリーだ。韓国の公共放送KBSがその映像を入手して報じた。映像は、違法行為を告発して国民に警鐘を鳴らすために作られたもので、違反者らを「見せしめ」にする目的があると思われる。

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しかしそれがむしろ、経済難を生き抜く北朝鮮の人々のたくましさを垣間見せてもいる。

この映像を見ると、出版社とは名ばかりで、建物は掘っ立て小屋のようで、内部には木でできた枠のようなものが積み上げられていた。その中にいたのは、大量の「アブラガエル」だった。

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正式には「チョウセンヤマアカガエル」と呼ばれるこのカエルは、メスの輸卵管の周囲についた脂肪組織を「蛤蟆油」と呼び、非常に栄養豊富な健康食材として中国で珍重されている。コロナ前の数字だが、1キロ100匹として1000ドルで買い取ってもらえたという。出版社は、許可なく65平米の小屋を建て、数百匹の「アブラガエル」を養殖していた。

当局は何度も摘発し、そのたびに中止命令を出しているが、出版社側は聞く耳を持たず、村人まで雇用して養殖場を拡大していた。出版社職員によると、1人あたりの年間売上ノルマは1000ドル(約14万2000円)だった。

経済難が続く北朝鮮では、金正恩総書記が旗振り役となり、1990年代からなし崩し的に進んできた市場経済を、国が主導する計画経済へと回帰させる取り組みが続いている。その一環として、国の許可なく行われているビジネスを次から次へと取り締まっているのだ。ただ、そうした違法行為は現地で「生計型犯罪」――つまり生きていくための行為と捉えられている。

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映像で次に取り上げられたのは、道内最大都市の沙里院(サリウォン)にある建材店だ。4月1日までに営業を中止するよう勧告されたが、それから1カ月以上経っても営業が続けられている。

店舗の建物も違法だらけで、従業員の「休憩室」を作るとして勝手に奥と2階の部屋を増築し、しかも実態は販売店管理者の住居となっていた。さらなる問題は、この店で売られている鉄骨などの建材が、建築現場から盗み出されたものだということだ。

この店のみならず、市場で販売されている穀物なども、基本的には国の施設から従業員が無断で持ち出したものだ。市場に並ぶ売物は、生鮮食料品など一部のものを除けば、密輸や横流しで持ち込まれたものが多い。当局が、市場に対する締めつけを強化しているのも、違法行為の温床としての一面があるからのようだ。

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一方、公衆浴場の看板がかけられている建物では、賭けビリヤードが行われていた。利用料は昨年12月は3万北朝鮮ウォン(約300円)、年末年始には1万北朝鮮ウォン(約100円)だった。

企業やその従業員が、本来の業務とは全く関係のない仕事をしているのは、国から全くと言っていいほど予算が下りないためだ。

例えば上述の教育図書出版社は、地域の児童、生徒に配布する教科書を制作、配布することになっており、そのノルマが決められているが、そのためには紙やインキ、輸送費などが必要になる。また、人件費もかかるが、国からは一円も出ないため、自分たちで商売をして稼がなければならないのだ。