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北朝鮮と中国の国境を流れる鴨緑江には数多くの中洲があるが、その大部分が7月末の大水害で甚大な被害を受けた。新義州(シニジュ)市郊外にある柳草島(リュチョド)も例外ではない。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、島では逃げ遅れて亡くなった人も少なくないという。ただ、他の中洲とは異なり、本土との間に橋がかけられているため、まだマシな方だったようだ。それでも、生き残った人々の暮らしが苦しいのは言うまでもない。

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島民たちは大根、白菜、ネギ、ニンニクを栽培したり、鴨緑江で取れた淡水魚を干物にしたりして、新義州市内に卸して生計を立ててきた。ところが、今回の洪水で船も網も流されてしまい、田畑も水に浸かってしまった。そこで、各地の小規模農場や牧場を周り、糞尿を集める仕事をしてなんとか暮らしている。

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また、新義州市内で仕入れた商品を売る店を開いた人もいたが、商品はすべて水に流された。店が沈む前になんとか持ち出した幾ばくかの現金で新たに商品を仕入れて再起を図ろうとする人もいるが、島民のほとんどが全財産を失い、商品を買う余力がなく、商売にならないという。

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猛暑の今年だが、それでも遅かれ早かれ冬が到来する。この地域は北朝鮮の中では比較的温暖ではあるが、それでも真冬には氷点下10度以下まで下がる。暖房用の燃料の調達など、越冬の準備を始めなければならないが、1日1食を取るのがやっとの状態で、そこまで手が出せないという。

なお、4人家族の一般的な越冬準備の費用は、少なくとも100万北朝鮮ウォン(約1万円)かかる。これは、4人家族の2ヶ月分の生活費に当たる。

困窮する被災者に対して、当局は何もしていないわけではない。

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新義州市当局は、島民に対して、トウモロコシ4キロ(3人家族の場合)、歯ブラシ、歯磨き粉、毛布、スプーン、箸、食器、七輪、たらい、バケツ、そして靴を1人あたり1セットずつ供給した。

しかし、これだけではとても足りず、国が骨組みだけの住宅を建ててくれたら、そこでとりあえず再起を図るしかないと、島民はため息を付いている。

多くの島民の命を救った、本土との間にかかっていた橋だが、結局は流されてしまい、今に至るまで復旧されていない。橋とは言っても、橋桁の上に板を乗せただけの「流れ橋」の類だった。

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当然、トラックなどは通れなかったため、大きな品物を運ぶには、渡し船を使っていたが、今はそれしかない。ただ、島民の懐事情を考えて、船賃は安くされている。

国は、10月10日の朝鮮労働党創建日までの完全復旧を目指しているが、それまでは国境警備隊のゴムボートが午前と午後の2回運航されており、人や物の往来は比較的順調に行われている。

このように柳草島の島民は苦しい生活を強いられているが、おそらくまだマシな方だろう。

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複数ある中洲の中には、逃げられずに多くの人の住民を失ったところも少なくない。この周辺地域は、金正恩総書記が視察に訪れたこともあって、比較的復旧作業が進められているが、上流の慈江道(チャガンド)は被害がさらに深刻と言われている。

慈江道は軍事上の理由から閉鎖された地域だからか、被害や復旧の状況もあまり伝えられていない。かつては密輸の中心地だった両江道(リャンガンド)を深刻な被害が伝えられている。いずれも、新義州より遥かに寒さの厳しい地域だ。このまま冬に突入すれば、「二次被害」ともいうべき状況が繰り広げられるかもしれない。