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今月17日は、旧暦8月15日の秋夕(チュソク)だ。韓国では連休となり、多くの人が帰省して、先祖に墓参りをする。

かつての韓国の新聞では、大統領や有名政治家の墓に関する関する記事が多く見られた。風水の専門家が墓のある場所を見て、「いい土地を選んだから大統領になれた」などと診断するというものだった。風水的に非常に良いとされる明堂と呼ばれる土地の中でも、「左青龍・右白虎」、つまり東側に川が流れ、西側に大きな道があるところが最も好ましいとされていた。

かつての土葬から、火葬して遺骨を納骨堂に納める形へと急速に葬儀の習慣に変化が生じたせいか、以前ほど墓の場所に関する関心は高くないが、北朝鮮では、依然として土葬が一般的で、墓に関する考え方も非常に保守的だ。墓をテーマにした韓国のオカルト映画が人気を集めるのも、墓を大切にするという考え方があるからだろう。

(参考記事:「関ケ原の落ち武者との死闘」北朝鮮で”オカルト映画”大ヒットか

だが、そんな文化がついに変化し始めたようだ。

金正恩総書記は、自身が進める緑化政策の邪魔になると、山にある墓を撤去させているが、住民の受けは非常に悪い。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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北朝鮮当局は「森林回復」を名目に、山にあるすべての墓地を撤去し、遺骨を火葬するよう指示を下した。従わない場合は、当局が勝手に遺骨を掘り起こして火葬すると通知したことから、住民の多くが改葬に応じた。

しかし、これを巡っては非常に不満が多かった。墓の位置がよければ一家安泰だと考え、その場所を探るために占い師を訪ねて、その答えに応じて改葬したりするほど、墓を大切に考えていたからだ。

また、下手に動かすと祟りがあるとも恐れていた。さらには、火葬費用の負担も大きかった。それでも度重なる警告に従わざるを得なかったようだ。

(参考記事:「墓をぶっつぶせ!」金正恩命令に抵抗する平壌市民

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恵山(ヘサン)市在住の40代の人は、次のように述べた。

「昨年春、墓を撤去しなければ無縁仏として処理するとの通知を受け、父の墓の撤去し、遺骨を火葬した」

親の火葬は「親を二度殺すものだ」と言われ、避けるべきものとされてきたが、無縁仏にされるよりはマシだと、火葬と改葬に踏み切ったのだろう。だが、「この方がいいのではないか」と、ポジティブに受け止める人も少なくないようだ。

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「山に入って祭祀をする以前のやり方より、家で祭祀をやる方がずっと楽だ。経済的に余裕がなく、お供え物を準備できないと、隣の墓に来た人の目が気になるが、家でやればそんなこともない」(情報筋)

上述の恵山市民もかなり他人の目線が気になっていたようだ。

「墓参りに行くたびに、他の家は多くのお供え物を用意してくるが、うちはそんな余裕がなく、ずっと気が重かった。今ではそんな負担を感じなくて住むので、心が軽くなった」

さらに、遠くの墓まで行き来する必要がなくなったこともメリットだと述べた。

「8キロ離れた墓までお供え物を運ばなくてもよくなったので、むしろ良かった」

このような雰囲気が広がるに連れ、恵山市当局は、墓の撤去に激しく抵抗している人々の墓の撤去に踏み切る動きを見せている。