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韓国の脱北者団体が北朝鮮に向けて飛ばすビラ入りの風船を巡り、騒動が起きている。

韓国の国土交通省は、2キロ以上の重さの風船を飛ばすことは、航空安全法に違反する行為となるとの見方を示した。これに対して脱北者団体は、「1つの風船の重さは6.5キロから7.5キロになる」「表現の自由に対する侵害だ」として反発している。

この風船、実はかなり遠くまで届いているようで、北朝鮮当局は住民に対して警戒を呼びかけたのだが、それがまた意図せぬ反応を呼び起こしていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、地元の朝鮮労働党の委員会が、風船注意報を発したと伝えた。

党委員会は住民を集め、「敵どもの心理謀略策動を断固として叩き潰そう」と題した1時間ほどの宣伝映像を見せた。そこには、韓国から飛ばした風船が木にひっかかっている場面、山に落ちた風船を軍用犬が捜索して、見つかったものを焼却処分する場面などが含まれていた。また、軍人が海上で発見した風船を割ると、中にコメと共にCD、USBメモリ、小型ラジオが複数個入っていた。

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そして、ナレーションは次のように解説した。

「風船やその中に入っている紙や物品はすべて敵地(韓国)から飛ばしたものだ。敵地物資には絶対に手で触れてはならない。まずは司法機関に通報せよ」

両江道(リャンガンド)の情報筋も、人民班(町内会)の会議で、韓国から飛んできたビラを拾わないようにとの話があったと伝えた。

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両江道は、最も近い韓国領から200キロ以上、道内最大都市の恵山(ヘサン)から、ビラ飛ばしによく使われるソウル郊外の金浦までは400キロ離れている。そのため、ビラに関する話は聞いたことがあっても、実際に見たことがある人はおらず、当局の警告も今回が初めてだったとのことだ。

「今まで韓国からビラが飛んでくるという話は聞いたことはあるが、一度も見たことはない。韓国のビラを拾い集める映像で初めてビラを見た。コメや様々な物が運ばれてくるのも初めて知った」(情報筋)

当局は映像を見せることで、風船やビラに対する警戒心を高めようとしているが、逆効果を生み出している。

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「知っていたら拾っていたのに」
「食べものや衣類、生活必需品が入っているのに、飢えている人々が(拾うのを)躊躇するか」(住民)

(参考記事:【写真】北朝鮮兵士が衝撃を受けた「水着美女」の悩殺写真

韓国に隣接する黄海南道(ファンヘナムド)のデイリーNK内部情報筋は、現地の住民が、韓国から飛んできた風船を屋根にかぶせるシートなどに使っていると伝えた。一方で、中身は焼却処分してしまうという。持っているのがバレれば政治犯に問われかねず、中身も見慣れているからだろう。

(参考記事:金与正の恫喝も無視する北朝鮮国民の「生活の知恵」

咸鏡北道の住民も、「そんな風船を探して回るほど暇ではない」「見て見ぬふりをすればいい」という反応を示す一方で、「いいものならば持って帰って使えばいい。どうせバレない」などと、風船の飛来に期待する反応を見せた。

北朝鮮は、韓国から飛んでくる風船への報復として、汚物風船を韓国に向けて飛ばしているが、そのことが国民にも知れ渡り、「信じられない」「恥ずかしい」と言った反応を呼び起こしている。

(参考記事:「朝鮮人の恥だ」北朝鮮の汚物風船、国民に芽生える“逆効果”

いくら思想教育を行ったところで、北朝鮮の人々は、韓国が豊かな国であることを知っており、あこがれを持つ人も少なくない。思想教育や報復を行っても、逆効果になるばかりだ。