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尹錫悦大統領の頭上にも汚物が降り注ぐところだった。

24日午前、ソウル市内の韓国大統領室の敷地内に、北朝鮮が飛ばしたものと見られる汚物風船が多数落下したと韓国メディアが報じた。汚物風船が飛ばされたのは、今回で10回目となる。中身はゴミだったとのことだが、何が入っているかは確認するまでわからず、韓国軍当局は、空中で破壊すると被害が広がるおそれがあるため、落下後に収集する方針を立てている。

先月10日の4回目の風船散布時には、大統領室近隣の国立中央博物館、龍山区庁、梨泰院駅周辺にも汚物風船が落下している。大統領室を狙ったものか、偶然落ちたものかは不明だ。

北朝鮮国内では、一連の汚物風船散布についての政治講演会が行われている。その内容を、平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

北部の平安北道(ピョンアンブクト)の国境に接する地域では今月初めから、工場、企業所などで汚物風船を飛ばしたことと、その背景について説明する政治講演会が行われている。

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その場で配られた講演資料には次のように書かれていた。

「人間のクズであり米国の忠実な犬に転落した傀儡ども(韓国)には、汚物と蛆虫が似合う。ソウル地域に汚物をどんどん送ろう」
「わが元帥様(金正恩総書記)のお名前を既存する傀儡どもには、汚物を送り続け、う◯こを拾わせなればならない」

金正恩氏の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は、汚物風船の散布が、韓国の脱北者団体が北朝鮮に向けて飛ばしたビラ入りの風船に対する報復であるとしたが、講演会の場でそのことには触れられなかった。

(参考記事:「凄まじい代償を覚悟せよ」金与正氏、対北ビラ散布で韓国に警告

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ビラに対する好奇心を誘発してしまい、逆効果となる可能性に配慮したものと思われる。

金正恩総書記は、韓流に関する事件の詳細を国民に知らしめるとその内容について憶測が広がり、思想的に動揺するとして、新たに摘発した事件を国民に知らしめても、その内容には触れてはならないとする指示を下している。ビラに関しても、この指示が適用された可能性がある。

(参考記事:「朝鮮人の恥だ」北朝鮮の汚物風船、国民に芽生える“逆効果”

北朝鮮は、韓国政府を指して「傀儡一味」という呼び方を頻繁に使うが、今回の政治講演会では「傀儡ども」と、韓国国民までを十把一絡げにした表現が使われている。もはや統一の対象ではない、敵国の国民に過ぎないという認識なのだろう。

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「う◯こを拾わせろ」というかなり露骨な表現を使っているところからは、北朝鮮国民に韓国、韓国人への憧憬を捨てさせ、敵愾心を煽ろうという意図が感じられる。

ちなみに、北朝鮮の国営メディアは、汚物風船について一切報じていないが、中国との国境に接する地域の住民は、既に中国経由の情報で汚物風船のことを知っているものと思われる。そこで、この地域に限定して政治講演会を行ったようだ。しかし、住民は「露骨な(はしたない)表現に失望した」とする一方で、当局の意図を見抜いている。情報筋は次のように述べた。

(参考記事:【写真】水着美女の「悩殺写真」も…金正恩氏を悩ませた対北ビラの効き目

「数日間行われた講演会で、複数の講演者は、金与正同志が庶民の気持ちを汲んで談話を発表したと言っていた。中国に近く様々な情報に接している住民の思想的変質を懸念し、このような講演会を行ったようだ」

韓国に対する敵愾心を煽る教育は、北朝鮮では以前から行われているが、全くといっていいほど効果がなかった。今回の講演会も、自国が韓国に汚物風船を飛ばすという情けない手法を使っていることを、口コミを通じて国境から離れた地域の住民にまで届ける効果しか生まないだろう。