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「地獄の沙汰も金次第」とは今の北朝鮮の状況を表すにピッタリの言葉だろう。

管理所(政治犯収容所)から集結所(登録した住所から離脱した者を一時的に勾留する場所)に至るまで、北朝鮮の拘禁施設は人権侵害のオンパレードだ。

衛生環境は劣悪で、まともな食事にありつけず栄養失調になるのは基本だ。拷問や性暴力が蔓延する、世界最悪の人権侵害国家と言われる北朝鮮の中でも、さらに人権が踏みにじられているところだ。

しかし、管理所を除けばカネ次第で「まだマシな地獄」にすることもできる。家族が頻繁に面会に行って食べ物を差し入れすれば、餓死は免れる。看守や所長にワイロを掴ませて、「楽な強制労働」で住むところへの配置換えも可能だ。果ては刑期の短縮、即時釈放も可能だった。

北部の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の金持ち達った。いずれもこう言われていたという。

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「1~2日いたら、また家に戻って良いから」

このように鍛錬隊に入らずに自宅で過ごすために必要なワイロの額は、コロナ禍以降の相場が1カ月500元(約1万800円)から1000元(約2万1700円)だ。それに加えて、鍛錬隊から物品の上納を命じられれば応じなければならない。それなりの費用がかかるが、金持ちはもちろん一般人でも、可能な限りこのような手法を使いたがるという。

しかし時に、安全部(警察署)の検閲(監査)が入ることがある。たいていの場合、事前に予告されるため、鍛錬隊は大急ぎで自宅で過ごしている人を呼び戻し、あたかも問題なく服役しているかのように数合わせをして、検閲が終われば自宅に戻らせる。

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ただ、今回の場合は、金正恩総書記の三池淵(サムジヨン)現地指導が緊急で行われたため、万が一の事態を避けるために、鍛錬隊は大慌てで20人を呼び戻したのだという。

すぐに帰宅できると思っていた人々だが、数日経っても出してもらえないという、従来とは異なる状況となった。

「今回、元帥様(金正恩氏)が三池淵市を視察中に、幹部をひどく叱責して、一部の者は司法機関に身柄を送るように指示した。そのせいか、恵山市の司法機関はことごとく緊張状態にある。凍りついた空気が溶け出すまでは、鍛錬隊暮らしを続けるしかない」(情報筋)

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当然のことながら、多額のワイロを支払った本人やその家族は不満タラタラだ。強制労働もより一層厳しいものとなり、すぐに帰れるものとばかり思っていた人々は、自宅に戻れる日を考えて、ひたすら我慢しているとのことだ。

(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態

「犯罪者のくせに…」と思う向きもいるかもしれないが、北朝鮮は、人を雇ってビジネスをするというごく当たり前のことが違法行為とされている国だ。誰もが、日常生活を送るにあたって、常に何らかの法律を違反した状態にある。有名無実で実効性のない法律が多数存在し、ほとんどの場合は全く問題にならないか、ワイロでもみ消すことができたのだ。

ところが、昨今は法執行が厳しく行われるようになった上に、重罰化の傾向が続いている。いつ誰がどんなことで刑務所に放り込まれるか、銃殺されるかわからないのだ。