「けっきょく大事なのはカネ」骨抜きになる金正恩の重点政策

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北朝鮮当局が厳しい取り締まりを行っている送金ブローカー。韓国に逃れた脱北者らの仕送りなどを、北朝鮮国内に届けるというもので、中国キャリアの携帯電話を利用して送金の指示、受け取りの確認を行う。そして、お金とともに入ってくるのは情報だ。

先日、デイリーNKジャパンのインタビューに応じた脱北者は、送金ブローカーや在北朝鮮華僑、貿易関係者など海外とやり取りする人を通じて、様々な海外の情報を得ていたと証言した。韓ドラや映画の保存されたUSBメモリなどの物のやり取りはできなくとも、情報のやり取りは可能というわけだ。

(参考記事:「嘆願事業」に反発し脱出を決断…脱北者ら、都内で会見

外の世界を知ることで、体制に疑問を持ち、ついには脱北に至ったというケースだが、当局が恐れているのはまさにこのようなものだ。

それで取り締まりに血道を上げているわけだが、それさえも「カネの力」で骨抜きにされてしまう。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:「気絶、失禁する人が続出」北朝鮮、軍人虐殺の生々しい場面

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新義州(シニジュ)在住の貿易関係者のキムさん(仮名)は、中国人業者からの依頼で、北朝鮮に住む人に送金を届けた容疑により保衛部(秘密警察)に逮捕された。

キムさんは、かつて中国に駐在した経験があった。帰国の際に中国キャリアの携帯電話を持ち帰り、それを使って送金ブローカー業を営み、かなり儲けていた。

彼は、今までの保衛部の検閲(監査)をうまくやり過ごしていたが、今回はカネを受け取った人が摘発され、取り調べの過程で名前が浮上して逮捕に至った。

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ところが、わずか数日で釈放された。

予審(起訴前の証拠固めの段階)まで行けば釈放は難しいと判断した彼は、捕まってすぐに5万元(約111万円)という巨額のワイロを保衛部に渡し、自由を買い取ったのだ。

この話が広がり、市民の間からは、「検閲がいくら厳しくても、カネさえ渡せば釈放される」との声が上がっている。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が今年2月に伝えたところによると、保衛員に渡すワイロの額は、3000元(約6万7000円)から5000元(約11万1000円)だった。この相場に変動があったかは不明だが、それを遥かに上回る額のワイロなら、かなり際どい事件でももみ消しが可能ということがわかってしまった。

(参考記事:金正恩の拷問部隊が命がけでこなす「難しい宿題」