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北朝鮮には、中国から数多くの中古車が輸入されている。それも「国家密輸」という、政府機関が主導する密輸を通じて持ち込まれている。

最近、国家密輸される中古車の車体の色はほとんどが白だ。その理由について、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:密輸ですらも政府が主導する北朝鮮の摩訶不思議な貿易システム

北朝鮮で、車体が黒の自動車は権力の象徴とされている。つまり、幹部しか乗ることが許されない。そもそも黒い自動車は許可が出ず、民間人はもちろん、一般の政府機関系の貿易会社が輸入することは考えすらできないという。

「わが国(北朝鮮)の階級制度に基づく制限がいかに厳しいかを示している」(情報筋)

「万民が平等」とされる北朝鮮だが、実際には徹底した身分社会だ。先祖が故金日成主席とともに抗日パルチザン運動をしていたとされる人は、最も成分(身分)がいいとされ、様々な優遇を受けている。一方で、先祖が富農、日本や韓国の協力者だった人などは、最も身分が低いとされ、進学や就職、居住地域などありとあらゆる面で差別を受ける。

(参考記事:【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」

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国家密輸で取り寄せられる車は白、灰色、茶色だけで、最も需要の高いのは白だ。政治的に問題になりづらい、一番無難な色なのだろう。

そんな現状に不満を示す人もいる。

「幹部と同じ車種でさえなければいいのに、なぜ車体の色まで統制する必要があるのか」
「一般国民が黒い車に乗れないように規制している国には、世界広しと言えども北朝鮮以外ないはずだ」(市民)

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(参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

北朝鮮では、個人の自動車の所有が禁止されているが、実際には国営企業や政府機関から名義を借りて、一定の手数料と引き換えに自動車を所有し、営業活動を行う人々が少なくない。

だが、一方で日々の糧にも事欠く人々が大部分だ。車の所有はもちろんのこと、国内の自由な移動ですら、一種の特権だ。市場経済化の進展に伴い、移動規制が以前と比べてゆるくなったこともあったが、最近になって再び強化されている。