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「お金がなくて餓死する人が増えた。トンジュ(ニューリッチ)も多くが没落した」

昨年10月24日、20代女性のカン・ギュリさんら一家4人は、木造船に乗って北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)鏡城(キョンソン)を脱出し、南に300キロ以上離れた北方限界線(国連軍が海上に設定した軍事境界線)まで33時間をかけて到達し、脱北に成功した。

時はおりしも新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るっていたころ。北朝鮮は国境を完全に閉じきって貿易すら許さず、国内からは深刻な食糧や物資の不足が伝えられていた。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】突然のロックダウンで生活困窮、餓死者も

韓国・統一省が21日にソウルで開催したイベントで発言したカンさんは、当時の北朝鮮国内の惨状を赤裸々に語った。

国境封鎖によって中国から品物が入ってこなくなり、当局が市場での穀物の販売を禁じたことで、物価が10倍になった。

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「お金がなくて餓死する人が増えて、トンジュすらも多くが破産した。国境が塞がれる前に中国製品を仕入れておいた人だけが得をした」(カンさん)

カンさんはまた、韓国文化の取り締まりについても語った。

若者は、おしゃべりや携帯メールでのやり取りのときは、北朝鮮でよく使われる堅苦しい語調よりも、韓国でよく使われるソフトな語り口をよく使っていたが、取り締まりが厳しくなった2022年ごろから、そのような言葉も使えなくなったという。

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「若者たちの不満は大きくなり、苦痛が大きい」(カンさん)

また、外国の動画を見ていたとの罪で19歳、20歳、23歳の知り合いの若者が銃殺されたという。

「私はあんな死に方をしたくなかった」(カンさん)

(参考記事:北朝鮮の14歳少女に「生き恥」強制の見せしめの刑

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さらに、北朝鮮での暮らしをこのように表現した。

「ラップで顔をグルグル巻きにされて針の穴を数個だけ空けられた状態」

そんな彼女が脱北を決心したのは、韓国のテレビを見たのがきっかけだった。

「私の住んでいた海辺の地域では、韓国KBS(が受信できて)『6時わが故郷』をよく見ていた。現実を反映した内容で生活水準がよくわかった。あんなところで暮らしたいという思いを抱いた」(カンさん)

また、脱北の過程については、「北朝鮮を出ることより、あそこで暮らし続けることのほうが怖かった」「自由に向かう試みそのものだけでも、自由になった気分になってとても幸せになった」「(韓国の)束草についたときに私たち一行を発見してくれた漁師から『どこから来たのか、脱北したのか』と聞かれ、『そうだ』と答えたら、『ようこそ』と言ってくれ、心が温かくなり涙が流れた」と述べた。
(参考記事:「見てはいけない」ボロボロにされた女子大生に北朝鮮国民も衝撃
自由な韓国で暮らしているカンさんだが、北朝鮮に残してきた家族のことを気遣ってか、サングラスをして顔を隠し、実名は明らかにしなかった。