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「昨年夏まで1ドルに8000北朝鮮ウォン台に留まっていたレートが、最近になって1万3000北朝鮮ウォンになった。場所によっては1万4000北朝鮮ウォンを付けているところもある」

これは今月2日、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が伝えた北朝鮮ウォンの暴落情報だ。

他の情報筋からのクロスチェックが行われていないため、信憑性はわからなかったが、デイリーNKの北朝鮮各地の内部情報筋が、この通貨安について伝えている。

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平壌のデイリーNK内部情報筋は、1ドル(約158円)が8000北朝鮮ウォン台だったのが、急に1万2000北朝鮮ウォンまで急落したと伝えた。これは打撃隊(取り締まり班)が市場を周り、個人の外貨取引を規制したことで、混乱が起きたためだと情報筋は説明し、このように表現した。

「貨幣改革のときほど混乱した状況」

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貨幣改革とは、故金正日総書記が2009年に行ったもので、市場経済に流れ込んだ富を無効化するために、紙幣を新しいものにして、交換するに当たって旧紙幣を銀行に預けさせ、新紙幣に引き出し制限を付けた。

経済、社会が大混乱に陥り、慌てた金正日氏は制限を緩和したり、脆弱階層に補助金を配るなどの対策を取ったものの、市場からモノが消えてハイパーインフレが起きてしまった。混乱を抑え込むため、責任を問われた要人が処刑された。

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通貨安は全国的な現象で、平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)で1ドルが1万2000北朝鮮ウォン、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)で1万2400北朝鮮ウォンを記録した。

別の情報筋によると、社会安全省(警察庁)は先月中旬、全国の道の安全局(県警本部)、市や郡の安全部(警察署)に、外為レートを撹乱する勢力を掃討せよとの指示を下した。これに伴い、全国の安全員(警察官)、打撃隊が「トンデコ」と呼ばれる闇両替商の取り締まりを始めた。

また、個人間の外貨送金も厳しく取り締まり、外貨送金は国営銀行を通してのみ行うようにさせた。違反者は逮捕され、法的処罰を受ける。銀行では送金の受付は行うものの、外貨への両替や外貨の引き出しはいっさい受け付けていない。

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両江道のデイリーNK内部情報筋は、先月28日から今月20日までが外貨取引の取締期間で、市や郡の市場周辺で打撃隊が闇両替商の取り締まりを行っていると伝えた。打撃隊は単に取り締まるだけでなく、違反者を逮捕しようと目の色を変えている。

恵山市内で取り締まり開始から今までに20人が、労働鍛錬隊(短期の刑務所)送りになったとのことだ。

打撃隊はまた、鉄道駅周辺で他地方から来た人の荷物検査を行い、300ドル(約4万7400円)以上の外貨を所持していれば即時没収している。

一方で対中国人民元のレートは、対米ドルレートほどの動きは見せていない。新義州で先月末に1元(約22円)が1790北朝鮮ウォンで取り引きされていたが、今月9日は1820北朝鮮ウォンで、ほとんど値動きを見せていない。恵山などの他の地域でも状況は同じだ。

これについて別の情報筋は、「打撃隊が集中的に狙っているのは中国人民元ではなく米ドルだ、しかしトンジュ(金主、ニューリッチ)やトンデコの間では『国は人民元をある程度保有しているが、ドルが足りないため、打撃隊を動員してドルを吸収しようとしている』との話が広がっている」と伝えた。