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北朝鮮でも「韓国」と自由に呼べるようになった、わけではなかった。

北朝鮮では、韓国のことを常に「南朝鮮」と呼び続けていた。朝鮮半島における唯一の正統性を持つ政権であることを国の内外に主張しつづけてきた。それは韓国とて同じで、北朝鮮のことを「北韓」と呼び続けている。

ところが、金正恩総書記が、今年1月の第14期第10回最高人民会議の施政演説で、韓国はもはや統一の相手でも同族でもない主敵だとして、同じ民族であることも否定した。それ以降北朝鮮は韓国のことを「南朝鮮」ではなく、「傀儡韓国」と呼ぶようになった。

それを喜んだのは、K-POPや韓ドラ大好きな北朝鮮の若者たちだ。「これで堂々と韓国と呼べる」という理由だが、そうは問屋が卸さなかった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

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両江道(リャンガンド)の教育部門の情報筋によると、今月1日の午後3時に恵山(ヘサン)市内の各中級中学校(中学校に相当)で、両江道青年同盟(社会主義愛国青年同盟)が主催する反動思想文化剔抉(てっけつ=取り除く)のための思想闘争会議が行われた。

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思想闘争会議とは、舞台に立たされ、自分が何を間違ったかを批判した上で、他人にかわるがわる批判を受け続ける、見せしめの刑だ。

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両江道青年同盟は先月中旬から中央青年同盟学生部の検閲(監査)を受けていた。生徒、学生にどのような思想教育を行ったのか、ちゃんと理解させたのかを、教育を受けた本人たちに試験を受けさせる方式でチェックした。すると、目も当てられない散々な結果だったのだ。

「民族和解、平和統一、一つの民族という概念を捨て切れずにいる上に、大韓民国、韓国という表現を何のためらいもなく使い、監査官を当惑させた」(情報筋)

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きちんと「傀儡韓国」と呼ぶのが正解なのだが、生徒・学生たちは、金正恩氏の演説内容を正しく理解していなかったのだ。「韓国と呼べば反動思想文化排撃法違反になる」と何度も学校で教育をしたのだが、馬耳東風だったようだ。なお、当初は対象ではなかったはずの「平和統一」「一つの民族」という表現もこの法に違反する行為となるとのことだ。

峯興(ポンフン)初級中学校の階級教養室で行われた、反動思想文化剔抉のための思想闘争会議の内容について、地元の大学生は次のように伝えた。

「会議ではまだ14歳の幼い少女はもちろん、一部の保護者まで批判舞台に立たされ、恥をかかされた」

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批判舞台には、不良青少年グルパ(取り締まり班)の取り締まりで摘発された生徒も立たされた。両江道青年同盟の幹部は、舞台に立たされた生徒の名前を一人ひとり大声で読み上げた。そして、生徒は他の生徒から批判され、保護者は教職員から批判された。

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ただ、このやり方には批判をさせられた教職員からもおかしいとの声が上がっている。

「北と南が同じ民族で、一つの同胞という表現は(日本の植民地支配からの)解放後から今までずっと使われてきたのに、一朝一夕に変えられるものではない。それなのに思想闘争会議の舞台に立たされて批判されるのはあまりにも過酷だ」