「下女も同然。何を売ろうか…」経済迷走で苦しむ北朝鮮女性

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1990年代の中国の国営商店では、「従業員が神様」だった。客は従業員の顔色をうかがいつつ、恐る恐る物を売ってもらうものだった。

従業員がショーウィンドウに突っ伏して居眠りしているのは当たり前で、その間は商品を売ってもらえない。下手に起こそうものなら怒鳴られるといった具合だった。

いくら売り上げ成績がよくても給料が上がるわけではなかったので、ともかく仕事をしたがらなかったのだ。資本主義化した今の中国からは想像できないような光景だ。

2024年の今に至っても社会主義計画経済を標榜している北朝鮮には、国営商店が多数存在するが、そのあり方は昔の中国や旧共産圏諸国とは異なっている。国営商店は、商人が物を売るプラットフォームに過ぎないのだ。

商人は、国営商店に自分の商品を持ち込んで販売し、その利益の一部を国営商店に納める。国営商店は、国から販売ノルマを課せられているが、実際には商品が入荷しないことも多い。しかし、このような形を取れば、帳簿の上ではノルマが達成できたことになるのだ。

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一方で、商人から預かった商品を販売し、月給を受け取る販売員もいる。個人が個人を雇うことが禁じられているため、表向きは国営商店に雇われていることになっているが、実際の雇用主は商人だ。

ところが、最近になって販売員が国営商店を辞める人が増えているという。一体何が起きているのか、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

清津(チョンジン)在住の30代女性は昨年12月、月給500元(約1万750円)を受け取る条件で、販売員として国営商店に入った。一般的な労働者の給料が5万北朝鮮ウォン(約900円)であることを考えると、かなりの高給取りだ。

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しかし、約束は一度たりとも守られなかった。給料の未払いが続き、しつこく要求した末に、今年3月、4月分を受け取ったのだが、それも2カ月分で200元(約4300円)に過ぎなかった。彼女は結局、店を辞めてしまった。

「確かに品物は売れず商売あがったりであることには違いない。だけど、しつこく訴えなければ給料を払おうとせず、『給料を払って欲しい』と言えば睨まれて、犯罪者にでもなった気分だ。これなら道端で野菜でも売る方がまだマシだ」(30代女性元販売員)

(参考記事:行き詰まる「金正恩の米屋」…怒れる商人と取締官が衝突

別の販売員もこんな話をした。

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「種銭も商品もなく店に入った販売員は下女も同様だ。ほとんどが20代、30代で、女性の職業としては、市場での商人よりはきれいな商売のようにも見えるが、売るものがなければたいへんだ。下手に足を踏み入れてひどい目に遭っている」

(参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発

コロナ禍で密輸がほとんどできなくなり、依然として回復できていない。今の状態が続けば、指をくわえて何もできずにいるだけの世の中になってしまうというのが、恵山市民の間で交わされている話だ。

「どうか市場での収入で食べていけるように、コロナ前のようにすべての流通を正常化してほしい」(恵山市民)