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全世界がコロナ禍にあった2021年、各地の都市では感染の拡大を防ぐために「ロックダウン」が行われ、外出が禁止され、移動が制限されるなど市民生活は大混乱に陥った。それは北朝鮮とて例外ではない。

中国から新型コロナウイルスが流入すると見た北朝鮮は、国境沿いの都市で発熱患者が発生したり、閉鎖しているはずの国境から北朝鮮に密かに戻る人が出るたびに、当該地域に「封鎖令」を敷いた。また、地域間の移動を従来以上に制限した。

(参考記事:【内部資料】北朝鮮、少なくとも37カ所をコロナの恐れで地域封鎖

移動制限の手段として北朝鮮は、技術的な対策を行った。その一つが、首都・平壌と全国の大都市の主要鉄道駅に顔認識システムを設置することだった。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)当局は2021年4月、中央の指示に基づきにより、鉄道駅の顔認識システムを設置。列車を利用する人の顔を識別し、身元を確認した。

咸鏡南道安全局(県警本部)はこのように胸を張った。

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「化学工業の中心地である咸鏡南道で、伝染病を口実にした敵どもの蠢動に備え、国が莫大な資金を出して設置させた特別な装置だ」

そして、コロナ禍でのソーシャル・ディスタンシングが求められる中で、感染拡大のリスクを減らしながら住民の移動を効果的に管理できる非常に適切な対策だと自画自賛した。

これはうまく機能したようで、道内の他の駅の改札口にもシステムを設置することとなった。複数の駅に設置することで、住民の移動をより厳しく制限できるようになったという。

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鉄道安全員員(鉄道警察)が乗客を一列に並ばせ、各自の公民証(IDカード)、旅行証(国内用パスポート)、乗車券などを目視で確認する従来のやり方と比べ、はるかに迅速かつ正確なコントロールができるようになった。

咸鏡南道のある住民は、顔認識システムの導入についてこのように評した。

「高度化された技術力をもって、住民の取り締まりと統制を強化しようとする国の意志を示した」

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つまり、感染拡大防止を大義名分に掲げ、住民の移動統制をより厳しくするのが北朝鮮政府の意図だったということだ。

装置を目の当たりにした人の反応は様々だった。

「人々は国の技術がかなり発達したことに驚いた。中には『人々が飢餓で倒れていくことなどお構いなしに、人々を窮屈にコントロールする技術にお金を使った』という事実に驚嘆する人もいた」

北朝鮮のインフォーマル・セクターの物流は、中国から持ち込まれた製品を、商人が各地に運ぶ形で成り立っていた。しかし輸入も国内移動も厳しく制限されたことで、食糧、生活必需品、医薬品などが国境から離れた地方に届かなくなった。食糧や物資の不足に苦しむ国民そっちのけで、移動規制など内部の引き締めを重視する国の姿勢に怒りと絶望を表す人もいたとのことだ。

(参考記事:「気絶、失禁する人が続出」北朝鮮、軍人虐殺の生々しい場面

多額の予算を投じて設置された顔認識システムだが、平壌駅に設置されたものは2021年の時点で正常に稼働していたものの、咸鏡南道の各駅に設置されたものは、誤作動で使えなくなってしまった。現在どうなっているかは不明だ。

そのため、鉄道安全員(鉄道警察)が乗客の公民証、旅行証、乗車券を目視で確認する従来の方式に戻ってしまっている。