ニューヨークに本部を置く国際人権団体「ヒューマン·ライツ·ウォッチ」は7日、新型コロナウイルスの世界的流行に際し、より悪化した北朝鮮の人権状況を調査分析した報告書「銃弾より強い恐怖;北朝鮮の閉鎖(A Sense of Terror Stronger than a Bullet:The Closing of North Korea)2018-2023」を公開した。
この期間、北朝鮮は防疫対策を理由に人々に対する統制を強化。国連安全保障理事会はすでに2020年12月11日の非公開会合で、北朝鮮で処刑が増加していることに憂慮を表明していた。
北朝鮮で行われた新型コロナ関連の処刑とは、どのようなものか。例えば、韓国紙・東亜日報の記者で脱北者でもあるチュ・ソンハ氏は、自身のブログで次のような事例を伝えている。
2020年8月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡で、複数の軍関係者が処刑される事件が起きた。この地域では少し前、国境の川を渡って中国へ脱北した地域住民が、再び故郷に戻り逮捕されていた。金正恩総書記氏は、新型コロナの流入を防ぐために国境を徹底的に封鎖するよう厳命しているが、それが出来ていないことが発覚してしまったのだ。
その結果、件の脱北者が越境した地点を受け持っていた国境警備隊の中隊長、政治指導員、責任保衛指導員、軍保衛部封鎖部長、軍機動巡察隊長、そして脱北者本人が所属する職場の党委員長と支配人が処刑されたという。さらに、チュ氏は処刑の場面を次のように生々しく描写している。
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「そして彼らの処刑場面を、当該地域の幹部たちに参観させた。どれほど残忍に処刑されたのか、参観者の中からは気絶する人、失禁する人が続出した。北朝鮮でよく行われる、数百発の銃弾を浴びせ、人間の原型すらとどめないやり方だったのだろう」
読めばわかる通り、処刑された軍人や党官僚は、故意に防疫ルールを破ったわけではない。どれほど警戒しても、広い国境地帯を完璧な監視下に置くのは不可能に近い。そんなことの責任を問われて処刑されたのでは、命がいくつあっても足りないだろう。