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北朝鮮社会を蝕む深刻な麻薬問題。元はと言えば、外貨獲得のため故金正日総書記が製造、密輸出させたことに端を発している。そうして生産された麻薬が横流しで国内で出回るようになり、万病に効く薬、薬の代用などとして広く使われるようになったのだ。

北朝鮮は医薬品の多くを中国からの輸入に頼っているが、コロナ対策として2020年1月に国境を封鎖、貿易を停止させたことで、医薬品の不足に拍車がかかり、麻薬に頼る人が相次いだ。これに対して、当局は取り締まりを強化し、密売グループを逮捕している。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が現状を伝えた。

社会安全省(警察庁)麻薬局は10月初め、各道の安全局(県警本部)と合同で麻薬事犯の逮捕作戦を進め、長年にわたって生産、販売に関わってきた業者10数人を逮捕した。

10人は、半年から1年の予審(起訴前の証拠固めの段階)を経て、極刑が言い渡されるものと見られている。

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北朝鮮当局が薬物事犯に対して極刑で臨むのは、それなりの経緯がある。アヘンなどの麻薬に続いて生産された「オルム(氷)」などと呼ばれる覚せい剤は、さらに猛威をふるい、社会のモラルを揺るがすまでになっている。

日本に在住する脱北者のAさん(40代の女性)は、薬物の蔓延が北朝鮮を離れる決定的なきっかけだったという。

「隣家の10代の学生が覚せい剤中毒になって大変な騒ぎとなった。それをきっかけに薬物について独自で調べたところ、あまりにも薬物が蔓延する実情を見て、この国(北朝鮮)はもう終わりだと思い、脱北を決意した」

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今回逮捕された10人は、大規模化学工場のある咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)で原料を調達するグループ、咸鏡北道の清津と羅先(ラソン)で製造するグループ、そして、全国的に販売するグループに分かれていた。

かつては咸興の工場で生産された麻薬を中国や他の国に密輸出していたが、今回の場合、咸興で大量の原料を確保し、そこから離れた清津や羅先で製造し、国内での販売に加え、中国に密輸出までしていた。

国境封鎖によりできなくなっていた麻薬の密輸出は、今年に入って段階的に国境が開かれたことで再開され、国内での密売より2〜3倍の儲けを得ていたことがわかり、大きく問題視されている。