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中国当局は今年10月から11月にかけて、国内にいた脱北者を北朝鮮に強制送還した。その数字は600人から2600人と幅があり、正確な数はわからない。

ただ、送還された人が北朝鮮当局により、強制労働、拷問、強制妊娠中絶など様々な人権侵害に遭っていることは確かなようだ。

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中国にいる脱北者が全員送還されたわけではないが、まだ中国に残って暮らしている脱北者も少なからず動揺している。

中国のデイリーNK情報筋によると、遼寧省のある村では先月末、省公安局(県警本部に相当)の担当者が、地元の中国人男性と結婚した脱北女性を派出所に呼び出して面談を行った。

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その場で担当者は、強制送還についてこのように述べたという。

「先月、われわれが朝鮮の人々を本国に送り返したのは、ここに残っているあなた方に警鐘を鳴らすためだ。今のように問題を起こさずに静かに暮らしているなら、強制的に送り返すことはないので安心せよ」

中国当局は、自国民と結婚して子どもをもうけて暮らしている脱北女性について、登録と引き換えに滞在を黙認しているが、他の違法行為が認められた場合には逮捕・勾留の上、北朝鮮に強制送還される。

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中国の当局者は、事前通知のない居住地離脱などの行為を行わないように警告し、ともかく問題を起こさないように強調した上で、脱北女性たちの血液や指紋の採集を行った。そして、今後の脱北女性の管理は、遼寧省公安局が行う旨を通知した。

今までは地域レベルで行っていた脱北女性の管理が、省レベルに移行したということは、管理の強化に他ならない。人口が減少に転じたこの地域で、手っ取り早い人口減少抑制の対策として脱北女性を地元に縛り付けるという目論見が垣間見える。

(参考記事:中国当局「人口対策」で脱北女性たちの残留を容認

公安局は、脱北女性を帰宅させた後、中国人の夫を別途呼び出して、脱北女性の動向や評価を記録した。また、7月1日から施行された反スパイ法に基づき、脱北女性が何か問題を起こせば、情報機関の国家安全省が取り扱い、事件の深刻度に応じて北朝鮮に強制送還されると警告した。一方で、事件が軽微ならば強制送還は免れるとも述べた。

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今回の面談に参加した脱北女性は、「公安に、自分たちが問題を起こさなければ北朝鮮に送り返さないから安心しろと言われたが、夫たちを呼び出して反スパイ法を持ち出したと聞くと、さらに心配になる」と不安が解消されていないことを述べた。

中国政府は、脱北者を「経済目的の不法入国者で、難民ではない」との立場を変えておらず、脱北女性に居留許可証を発行していない。居留外国人としての合法的な滞在を認めたわけではないため、彼女らの不安が解消されることはないだろう。しかし、合法的な滞在を認めると脱北者は該当地域を管轄するの北朝鮮領事館の管理を受けることになり、不安が解消するどころか、さらに不安が増すことになる。

中国国民であることを示す公民証が発行され、合法的な滞在が認められてこそ、彼女らはようやく安心して暮らせることになるのだ。