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北朝鮮の最高学府、金日成総合大学の学生らが先月18日の夜、寄宿舎と教室で酒盛りをして大騒ぎした。当局の言うところの「スルプン」(酒風)に該当するこうした行為は、本来ならば「社会主義の美徳を害する」として大問題になるところだ。それなのに、お咎めなしで済まされた。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊部隊である防風軍団(第11軍団)上がりの学生が、自宅から酒のあてとなる食べ物を持ってきたのが事件の発端だ。なお、暴風軍団といえば、2020年からのコロナ鎖国に際して、国境警備要員として派遣され、国境や緩衝地帯に近づく地域住民らを銃撃して死に至らしめ、地域でも狼藉の限りを尽くしたことで悪名高い。

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彼は他の学生と共に夜通し酒を飲み、踊り、酔っ払ったまま教室に入り込み、ドアや窓を箸で叩き、果物ナイフを投げつけるなど大騒ぎした。

翌朝、当直の職員が酒瓶とゴミ、酔って寝ている学生たちを発見して、大学側に報告した。平時であっても問題になる行動だが、時期が時期だけあって、さらに問題視された。

同月26日の地方代議員選挙を控え、一切の事件・事故の発生が許されないという緊張した空気が流れ、警備を強化するように指示が下されていた中での酒盛りである。当該の学生たちには厳しい処分が下されると思いきや、大学当局は事件を密かに処理するように指示を下した。首謀者の父親が中央の幹部だったからだ。

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大学は、この学生たちが、他の学生たちに下された平壌市内で行われている建設プロジェクトやキャンパスの美化事業の課題(ノルマ、この場合は勤労動員)を、多額の米ドルで支援していると説明した。つまり、彼らの親は、勤労動員をカネの力でチャラにしてくれているということだ。それ以外の大学の様々な事業にも資金援助をしてくれているのだろう。

そして、今回の事件について噂が広がれば、金日成総合大学の顔に泥を塗ることになるので、外では話さないように全学生にかん口令を敷いた。

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ところが、この大学側の対応が、他の多くの学生たちの怒りを買った。

彼らは、「地方から出てきた学生があんなことをしでかしたのなら、すぐに問題になって退学させられたり、大きな政治的事案になるところだが、中央の幹部の息子たちだからという理由で大学当局にはどうにもできなかった」と指弾。重要な時期に酒盛りなどして、学校の施設を汚したのに何のお咎めもない、こんな差別は許されないと、ひそひそ話で怒りを示した。それが広まってしまったのだろう。

中央幹部のドラ息子連中、つまり日本のネット用語で言うところの「上級国民」が、処罰されないことをいいことに好き勝手に振る舞っている事例は、枚挙にいとまがない。

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事件のもみ消しは序の口で、進学、兵役、就職、昇進などありとあらゆる面で、カネに物を言わせて自分の意のままに進める。「万民の平等」を謳う北朝鮮だが、現実は拝金tpと縁故主義がはびこる不平等な社会なのだ。

(参考記事:「放蕩息子」に処刑された、北朝鮮軍下士官の叫び