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北朝鮮の国営朝鮮中央通信は今月8日、このような記事を配信している。

数万トンのくず鉄を各金属工場に支援

【平壌10月8日発朝鮮中央通信】金属工業部門に対する支援熱気がいっそう高まっている。

第3四半期だけでも、各地の活動家と勤労者が数万トンのくず鉄を集めて金属工場に送った。

咸鏡南道では、活動家らが現地へ出向いて成果と経験を一般化する活動を深化させて高い実績をあげた。

平壌市では、単位別の実情を具体的に把握したことに基づいてくず鉄収集状況を随時掌握、指導しながら、輸送の手配を先行させた。

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黄海南道では、内部の余力を活用する活動へと大衆を積極的に奮い立たせ、買付機関の役割をより強めて成果を収めた。

南浦市と開城市、黄海北道でも、四半期に多くのくず鉄を確保して金属工場に送った。---

このようなくず鉄のリサイクルは日本でも行われている。日本鉄リサイクル工業会によると、2022年度の鉄スクラップ(くず鉄)の取扱量は2630万4000トンで、鉄4000トンが使われている東京タワー6576基分に相当する。

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北朝鮮が3カ月間で集めたくず鉄が数万トンというのは、決して少なくない量だ。だが、その目的は環境負荷の軽減といった類のものではないようだ。実態を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、中央の指示に基づき、くず鉄の買い取り作業が大々的に行われていると伝えた。供出が求められるくず鉄の量は、1世帯あたり1年に25キロだ。しかし、このようなキャンペーンが毎年行われていることから、もはやくず鉄が残っている家などほとんどない。

その代わりに求められるのは、現金だ。

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買い取り所では、くず鉄1キロを400北朝鮮ウォン(約6.8円)で買い取っている。25キロなら1万北朝鮮ウォン(約170円)となるが、この額を現金で納めよというのだ。

(参考記事:北朝鮮の少年少女を苦しめる「気持ち悪い」冬休みの課題

当然のことながら、このようなやり方は極めて評判が悪い。

両江道(リャンガンド)の情報筋も、現地で同様のくず鉄の供出の今年のノルマを達成せよ、さもなくば現金で支払えと当局が指示したと伝えている。

これに対して住民は呆れ返っている。年間のノルマを繰り上げ達成せよというものだからだ。

「(朝鮮労働)党がくず鉄を納めよというのは、事実上カネを出せと言っているのと同じ」
「食べるコメも、買うカネもないというのに、年間くず鉄ノルマを理由にして現金を支払えと強いている」

(参考記事:登校を嫌がる児童、怒る保護者…夏休み明けの北朝鮮の小学校で起きたこと

北朝鮮はくず鉄のみならず、古ゴム、廃ガラス、古紙、廃アルミ、廃銅、ハギレなど様々なリサイクル品のノルマを人々に課しているが、なぜかくず鉄だけ繰り上げ達成を求めている。

その理由について、咸鏡北道の情報筋は、次のように見ている。

「くず鉄買い取りを強調するのは、先月の元帥様(金正恩総書記)のロシア訪問と関連があると聞いている。訪問後、現代戦において重要な役割を果たす核攻撃潜水艦の建造計画が発表されてから、急に進められるようになった」

北朝鮮は戦前の大日本帝国と同様、兵器増産のため大量のくず鉄を必要としているのかもしれない。

(参考記事:「原潜建造にいっそう拍車」金正恩氏、潜水艦進水式で強調