中国に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、先月29日の秋夕(チュソク、旧盆、旧暦8月15日)と、今月1日の国慶節を挟んで、10日間の連休を取る。
それを利用して一時帰国する者は、食品や日用雑貨など大量の品物を持ち帰る。現在のように食糧不足とモノ不足が深刻になる前から、お土産や販売用の物品を持ち帰るのは当たり前のように行われていた。
この季節には、手頃な手土産として中国菓子の月餅が人気だった。しかし北朝鮮の税関は、コロナ前とは異なり、月餅を輸入禁止品として没収している。いったいなぜなのか。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
平安北道(ピョンアンブクト)の貿易機関に勤務する情報筋は、先月27日から新義州(シニジュ)を経てバスやタクシーに乗って多くの貿易機関の幹部が一時帰国したが、彼らの持っていた月餅が税関検査ですべて没収されたと伝えた。
月餅は、以前から朝鮮半島に住んでいた華僑が販売し、現地の人々にも知られていた。最近では中国に駐在する貿易関係者が、手土産として持ち帰るようになり、先祖へのお供物として使われるようになった。徐々に販売量が増え、ダンボール入りの大量の月餅を列車で運び込み、市場に卸すほどになった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面もともと平壌式の祭祀(チェサ)には、新米、アク抜きしたドングリの粉で作る松餅(ソンピョン)、肉や野菜を卵の黄身に漬けて焼いたサンジョク、魚、果物がお供えされるものだったが、最近では国産のパンやお菓子、中国の月餅をお供えする人が増えている。
最近、月餅を税関で没収されたと電話で幹部から聞いたと伝えた別の貿易関係者によると、「月餅は朝鮮のものではなく、中国の伝統菓子である、それが全国の市場に流通するのを統制せよ」との当局の指示があったと明らかにした。
ただ、それは伝統を守るといった意味合いではなく、北朝鮮の国営工場で製造されるパンやお菓子の市場を守るという意図があるというのが、情報筋の見立てだ。味も見た目もよい中国製の月餅に比べて、国産のものはどうしても劣るのだ。
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国産品愛用運動の一環として行われた月餅の没収。税関に山積みになったであろう月餅の行方は定かでないが、食糧難に加え、高値で売れる月餅を廃棄処分するという、もったいないことはまず行われないだろう。
別のルートを通じて、全国の市場に出荷されたことが考えられる。税関職員がホクホク顔であることは言うまでもないだろう。
(参考記事:北朝鮮製品、デザイン改善で人気は上々…それでも売れない理由は)