「金正恩は3匹目の豚」北朝鮮国内で相次ぐ“命がけの批判”

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北朝鮮の北東部、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)と清津(チョンジン)で、住民を対象とした筆跡調査が行われた。

しばしば行われるこの手の調査、その理由は一体何なのだろうか。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

会寧(フェリョン)の情報筋は、今月5日から保衛部(秘密警察)と安全部(警察署)が市内の機関、企業所、人民班(町内会)を対象にして筆跡調査に乗り出したと伝えた。ところが、その理由は知らされていないという。

筆跡調査は、主に反政府的な投書や落書きの「犯人」を探すために行われる。市民は、過去に現地で起きた事件を思い出し、緊張感に包まれているという。

(参考記事:「金正恩を倒せ!」落書き事件続発に北朝鮮が大慌て

2013年、会寧の高級中学校(高校)の壁に、金日成主席、金正日総書記、金正恩総書記を「3匹の豚」になぞらえて批判する落書きが発見された。この話はあっという間に広がり、大騒ぎになった。保衛部と安全部は犯人を捕まえるとして、市民の筆跡調査を行ったが、結局のところ犯人検挙には至らなかった。もし捕まれば、極刑は免れない。

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今回、筆跡調査が行われた理由は、情報筋の見立てでは、同様の落書きが発見されたか、秘密をしたためた手紙を何者かが韓国に送ろうとして摘発されたかのどちらかだ。

事件の概要が発表されないのは、下手をすれば市の幹部のクビが一斉に飛ぶ事態に発展しかねないほどの重大事件であるからだ。また、金氏一家を批判する「落書き事件」が明らかになり、市民の間に不穏な空気が広がることで、その権威に傷が付きかねないためだろう。

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ちなみに筆跡調査は、保衛指導員と安全員が1組になって各地に出向き、A4用紙の半分に書かれた内容を手書きさせて回収するという形で行われている。朝鮮労働党会寧市委員会は、一人残らず調査できるように、名簿を作って調査が終わったらサインさせるなどの形で、調査に積極的に協力している。

(参考記事:「金正恩は犬野郎」平壌騒然、落書き事件の犯人追跡

道内最大都市の清津(チョンジン)では、初級中学校(中学校)、高級中学校、大学の生徒、学生を含めた、全市民を対象にした筆跡調査が行われていると、現地の情報筋が伝えた。出席簿をもとに呼び出して、一人ひとりに用紙を手渡し、文字を手書きさせて、用紙を回収する。

調査の実施理由が説明されていないことから、参加させられた市民は「わけがわからない」という反応を示している。他の地域では行われていないことから、情報筋は咸鏡北道で何らかの事件が起きたものと推測している。

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このような筆跡調査が、犯人検挙にどれほど役に立つかは不明だ。

2016年に起きた保安員(当時の警察官の呼称)殺人事件では、犯人を装って保衛部に取り引きを持ちかける手紙を送り、カネをだまし取ろうとした容疑で、男性が逮捕されている。逮捕のきっかけは筆跡調査ではなく、酒の席で自分の犯行であることをうかがわせる発言をしたことだった。

(参考記事:金正恩「拷問部隊」から60万円を恐喝しようとした北朝鮮男性の末路