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中国・吉林省の延辺朝鮮族自治州の延辺テレビ局は2つのチャンネルを有しているが、うち1つは朝鮮語で放送するチャンネルだ。また、州内の6つの市、2つの県にあるテレビ局も朝鮮語放送を行っている。

報道の自由のない中国とはいえ、北朝鮮のそれとは比べ物にならないほど多様な情報を流している。海外ニュース、様々なバラエティ番組、歌番組などを通じ、間接的に韓国を含めた海外の情報が得られる。

そんな放送を受信できる中国国境沿いの北朝鮮の地域では、当局がテレビの取締に乗り出し、国営の朝鮮中央テレビしか見られないようにする措置を取っている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

現地の情報筋は、中国に接した会寧(フェリョン)市の朝鮮労働党委員会、安全部(警察署)、検察所などが合同で、地域の民家にあるテレビを検閲(検査)し、チャンネルを固定する作業に乗り出したと伝えた。中国のテレビ局で、韓国の番組を一部放送しているとの報告を受けた措置だ。

当局は2015年から、各地のテレビ中継局を廃止し、無線テレビを有線テレビに変更する作業を行っている。韓国のテレビ放送を受信できると言われている首都・平壌から段階的に始まり、2017年までは同様の韓国のテレビの受信可能な咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)、平安南道(ピョンアンナムド)以南の地域での作業が完了したが、コロナ禍による資材不足で他の地域での作業は遅れている。平壌以北の地域では、韓国のテレビの受信はかなり難しく、後回しにしても問題ないと考えたのだろう。

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しかし、これら地域、特に中国との国境沿いの地域では、チャンネルさえ変えれば中国のテレビが見られ、韓国のドラマや映画、バラエティ番組が楽しめる状況となっていた。また、現地制作のバラエティ番組も非常に「韓国風」の作りになっている。

そこで当局は、チャンネルを固定し、朝鮮中央テレビしか見られないようにする措置を進めたが、一部の人はそれを外して韓国の番組を楽しんでいた。

中国との国境に接する慈江道(チャガンド)の場合、対岸の地域は中国朝鮮族の少ない地域で、朝鮮語の番組も少ない。しかし、道当局は今月から検閲を開始し、15局(電波監視局)、郵便局、82連合指揮部(反社会主義・非社会主義連合指揮部)が、朝鮮中央テレビだけ見られるようにする作業を行っている。

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ちなみにラジオに関しても、所有していれば当局に登録させ、周波数をハンダ付けで固定する作業をして封印したものに限って使用が認められる。

さて、北朝鮮国民は韓国、中国のテレビを見るのを諦めたのだろうか。そんなはずはない。

経済的に余裕のある人は、テレビを2台購入し、1台を朝鮮中央テレビ用にして、もう1台を韓国・中国のテレビ用として隠し持っている。

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先日、木造船に乗って脱北した2家族9人も、韓国のテレビを見て憧れを抱いていたと取り調べで語っている。それほど韓国や中国のテレビ放送は、体制を脅かしかねない危険要素なのだ。

(参考記事:2家族9人、木造船に乗って脱北し韓国へ

だからといって、韓国や中国のテレビに慣れきった北朝鮮の視聴者に、朝鮮中央テレビを見させることは至難の業だ。思想教育、金氏一家を持ち上げる内容ばかりで、ドラマやバラエティは圧倒的に数が少ない。見る価値のあるものとしてはスポーツ中継くらいだろうが、それも北朝鮮チームが負けた試合は放送されない。

反動思想文化排撃法の制定で、韓流や外国のコンテンツに接することに対する厳罰化が進んだが、それでもやめられない中毒性をもっているのが韓流なのだ。

(参考記事:平壌、北朝鮮テレビが韓国テレビに「視聴率争い」で敗北?!