人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

2020年9月に北朝鮮を襲った台風9号(メイサーク)により、国内最大の亜鉛の産地、咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の検徳(コムドク)鉱山では甚大な被害が発生した。

現場の事情に疎い朝鮮労働党委員会が、作業員を早急に撤収させるべきとの現場の声を無視したことで、多くの人命が失われる2次被害も発生。また、数多くの民家が流出した。

現場を視察した金正恩総書記は、災害復旧と5年で2万5000戸の住宅建設に取り掛かることを指示した。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設部隊など多数の人員が動員され、住宅建設が進められたのだが、当の被災者からの評判は芳しくない。咸鏡南道のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:北朝鮮最大の亜鉛鉱山、台風で坑道すべて水没し死者多数

最近、検徳地区の被災者のみならず、今後水害の被害に遭うリスクの高い地域の住民にも、新たに建設された住宅が割り当てられた。これに合わせて入居を祝う行事も行われ、国営メディアがその様子を報じている。

しかし、新居への入居を拒否する人が相次いでいる。情報筋は、その理由を次のように語った。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

「住宅を深い谷間に建設したので、日中にもほとんど日陰にあり、交通もかなり不便だ」

検徳地区は、周囲を高い山に囲まれた地域だ。多くの住宅は傾斜地や谷底を流れる川沿いの地域に建てられている。このように非常に条件の悪いところに年間5000戸のノルマ達成という数合わせのために建てられた家もあり、古い家を修理して住んだほうがまだマシなのだという。

「新しく建てられた家は、すぐ裏に地面がむき出しの崖があるので、大雨が降ればたちまち土石流の直撃を受ける。また、表向きはまともでも、室内は壁にひびが入るなど状態がひどい。市場からも遠く離れているので、新しい家を割り当てられても住む気にならない」(別の住民)

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

北朝鮮で市場からの距離は、不動産価格を決める目安の一つになるほど重要だ。商品は市場に置いたままにできないので、毎日運ぶ必要があるからだ。情報筋は、せっかく建てた家なのに、このままでは無駄になってしまうと嘆き、単なる数合わせではなく、質とロケーションとアクセスを考えるのが大切だと指摘した。

昨年建てられた住宅に対しても、入居者から「水道水が出ない」などの問題が提起され、手抜き工事の疑惑が浮上している。

(参考記事:「とても住めない」金正恩印の復興住宅、国民から苦情殺到