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北朝鮮は「タダ働き社会」だ。地域の清掃から大々的な建設事業に至るまで、国民を半強制的に動員して行わせる。掃除ならともかく、数カ月から数年にわたる大規模な建設工事への動員であっても、賃金はいっさい支払われない。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、朝鮮労働党両江道委員会(道党)は先月末、中央からの指示を受け、社会主義愛国青年同盟(青年同盟)や朝鮮職業総同盟(職盟)のメンバーから、首都・平壌での建設工事や農村建設工事を行う「突撃隊」の嘆願者の募集を始めた。突撃隊とは、タダ働き建設部隊のことを指す。

道党は、党が最も信頼する青年党員、青年同盟や職盟のメンバーは、平壌と故郷両江道の建設に当然乗り出すべきなどと、「嘆願」を呼びかけた。嘆願とは言葉だけで、強制的なものであるのは一目瞭然だ。

道党は、不足している突撃隊の人員を補充する事業を、行政機関や企業所が担い、党の建設構想を無条件で貫徹しなければならないと強調した。

青年同盟や職盟は、「嘆願者の募集」を始め、「1〜2年ほど突撃隊暮らしをしてこそ(朝鮮労働党に)入党できる」とメンバーに説いている。道党も、「突撃隊に参加して帰ってくれば入党、表彰、幹部事業(幹部への登用)を認める」とメリットを並べて説明した。

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企業所は、兵役を終えてから間もない従業員に対して、一度は突撃隊に嘆願すべきだとプレッシャーをかけ、優先嘆願者リストに登録した。また、高級中学校(高校)や大学を卒業したばかりの従業員も、優先嘆願の対象としている。

しかし、反応は芳しくない。皆が皆、嘆願させられるのではないかと不安がっているとのことだ。中には抵抗するのをやめて、どうせ行くなら点数稼ぎのために本当に「行く」と自ら名乗り出る人もいるという。そして、平壌がいいか道内がいいか考えるのだが、どちらに行くかは究極の選択だ。

平壌の和盛(ファソン)地区で1万世帯に及ぶ住宅建設に動員された突撃隊は、充分な配給が行われないため、食糧、燃料、さらには金品を盗むために周囲の民家から盗み出す有様だ。

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道内の農村も、自宅から近いというメリットはあるものの、生活は苦しく、逃げ出す人が相次いでいる。どちらに行っても「嘆願者」を待ち構えているのは、苦行であることに変わらない。

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