「常識」すら見失っていた文在寅政権と、その当然の末路

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韓国のソウル中央地検は先月28日、文在寅前政権が帰順(亡命)を求めた北朝鮮の漁民2人を強制送還した事件に絡み、鄭義溶(チョン・ウィヨン)元青瓦台(旧大統領府)国家安保室長、盧英敏(ノ・ヨンミン)元大統領秘書室長、徐薫(ソ・フン)前国家安保室長、金錬鉄(キム・ヨンチョル)元統一相を国家情報院法上の職権乱用の罪などで在宅起訴した。

拷問して処刑

漁民2人は2019年11月2日に日本海上で拿捕(だほ)された北朝鮮のイカ釣り漁船の船員で、船内で16人の乗組員を殺害し、逃亡していたとされる。鄭氏らは、漁民2人が亡命の意思を示したにもかかわらず、北朝鮮に強制送還するよう関係機関に命じたという。また、漁民が韓国の法令に従って裁判を受ける権利を行使できないよう妨害したと疑われている。

この事件は、文在寅政権が犯した数々の失政と逸脱の中でも、最も深刻かつ明白なものだ。北朝鮮の内部情報筋が韓国デイリーNKに伝えたところによると、2人は黄海北道(ファンヘブクト)の沙里院(サリウォン)にある国家保衛省傘下の施設で拘束され、50日間にわたって拷問された後に処刑されたという。

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韓国統一省は昨年7月、板門店(パンムンジョム)での送還時の様子を収めた写真10枚と4分ほどのビデオ映像を相次いで公開した。その映像の中で、1人は激しく動揺し、送還に抵抗する様子を見せていた。また青いジャンパー姿のもう1人は、自分の運命を諦めたかのように、なすがままにされていた。

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脱北者に関わる映像で、これほどショッキングな場面は見たことがない。北朝鮮で生まれ育った2人は、自分たちをどのような境遇が待ち構えているかを、よく理解していたに違いない。

一方、このときの文在寅政権の行動は、韓国の法律専門家たちの「常識」から大きく外れたものだった。テレビのコメンテーターとしても有名なキム・ソンフン弁護士はSBS放送の番組に出演した際、北朝鮮を国家として認めていない韓国の憲法上、北の住民もまた韓国国民であるというのは「法曹界で皆が一貫して堅持してきた常識だ」と断言した。殺人が立証され厳罰に処せられるにしても、韓国国民として法の裁きを受けるのが当然だということだ。

文在寅政権は金正恩総書記に忖度するあまり、このような「常識」すらもひっくり返そうとした。そして、その結果として得られたものは皆無であるばかりか、今は法による断罪を待つところまできてしまったののである。