「お嬢様の未来、不安しかない」北朝鮮の若者たちが憂慮

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北朝鮮の金正恩総書記は25日、平壌市内で新しい市街地を建設する事業の着工式に、ジュエさんと見られる娘とともに出席し、2人並んでくわ入れを行った。

最近、金正恩氏は娘に大陸間弾道ミサイル(ICBM)や閲兵式を見せたり、一緒に体育行事を観覧したりしていたが、経済分野は今回が初めてだ。そのためメディアの中には、ジュエさんが将来的に、金正恩氏の後継者となるかどうかについて言及したところもあった。

一方、こうした動向を見守る北朝鮮国民の心境は複雑だ。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、子を持つ親たちは「うちの子どもは飢えと寒さに震えている。彼女だけ最高の待遇を受けているのを見て、誰が喜ぶものか」と反感を示しながらも、いわば「プリンセス」の動向を興味本位で見守る向きもあるという。

では、若者たちはどうか。清津(チョンジン)師範大学のある学生はこのように語ったという。

「元帥様の時代がまだ終わったわけではないのに、お嬢さまが登場し、学生の間で不安が広がっている。未成年の娘を何度も公の場に登場させるのは、(政権を)次世代に継がせてこのまま進むと予告しているに他ならないからだ」

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この見方は、非常に的確だと思う。まだ10歳とされる娘に、最高指導者となる資質があるかどうかは誰にもわからない。金王朝の権力と権威は、「恐怖政治」で守られてきた。

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金日成主席は政敵を容赦なく抹殺したし、金正日総書記は国民に恐怖を植え付ける目的から大量粛清を行ったと。年齢や生育環境から言って、祖父や父のそうした行いを直接には知らないと思われる金正恩氏も、恐怖政治では天性の残虐さを発揮している。

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同じことをジュエさんが出来るなどと、今の時点で誰が言えるだろうか。

彼女が成人したとき、北朝鮮を取り巻く情勢がどのようになっているかも、予測することは難しい。

ということは、金正恩氏が娘を連れまわすことで今できることと言えば、「この体制は、オレの代では終わらない」ということを、強くアピールすることだろう。

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もっとも、金正恩氏の思惑通りにことが運ぶ保証もない。仮に、金正恩氏の子どもの内の誰かが権力を継いだ時、その人物を取り巻く同世代の側近たちは、果たしてどのような世界観を持っているのだろうか。

ほぼ間違いないと思えるのは、その世代は100パーセント、韓流など海外のエンタメコンテンツを見て育っているということだ。そのようにして外部世界を知りながら育った人々が、閉鎖的な自国の姿を振り返り、「いつまでこんなことを続けなきゃならないんだ」とシラケてしまう――そんな展開も大いにありそうに思えるのだ。