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コロナ前の北朝鮮では、首都・平壌の政府機関や朝鮮人民軍(北朝鮮軍)傘下の大手貿易会社、そして地方の中小貿易会社が、様々なルートで輸出入を行っていた。また、一般国民も合法、非合法の輸出入に携わり収入を得ていた。

そんな状況を一変させたのが新型コロナウイルスだ。北朝鮮は2020年1月に国境を閉鎖、すべての貿易を止めてしまった。その後、段階的に貿易を再開させつつあるが、国が貿易を主導する体制を取り、新義州(シニジュ)や南浦(ナムポ)などの一部ルートでの輸入を認めているのみだ。

だが、物の輸入は認めても、人の出入りは一切認めてこなかった北朝鮮が、そろそろ限定的な解除に踏み切るようだ。

(参考記事:【北朝鮮幹部インタビュー】「輸入だけでなく輸出もしたい。複数の貿易ルート再開を」

北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)羅先(ラソン)は、中国とロシアに国境を接しているが、ようやく最近になって国境封鎖が解除する方針を示したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

中国の吉林省朝鮮族自治州の延吉の情報筋は、北朝鮮当局が1月初め、羅先と中国の琿春の国境封鎖を解除し、貿易を再開する意思を中国側に示したと伝えた。延吉市人民政府の外事課は、北朝鮮ビジネスに関わっていた人々にパスポート発行申請をするようにとの通知を出した。

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北朝鮮が、中国人のビジネス目的の入国を予告もなしに認める方針を示したことについて、この情報筋は、「北朝鮮国内では国境封鎖で住民の生活が危機に瀕しており、機関や企業所の運営にも大きな支障が出ている」として、当面の難局打開のために必要な物資を緊急に輸入しようとしているのではないかと見ている。

(参考記事:「金持ちまで餓死」北朝鮮国民がさまよう阿鼻叫喚の巷

このニュースを最も喜んでいるのは貿易会社の幹部と、羅先に工場を置く中国人の企業経営者だ。国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮決議で撤収を余儀なくされ、その後になんとか再稼働にこぎつけたものの、国境封鎖で再び撤収を強いられた中国企業の経営者はこの3年間、国境の再開を心待ちにしていた。彼らの間からは、遅くなったが国境が再び開かれることになったのは不幸中の幸いだとの反応が出ている。

(参考記事:北朝鮮経済特区に「制裁不況の風」…「まだ生ぬるい」との指摘も

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ビジネス目的以外にも、親戚訪問目的での羅先への入域が認められるようになったようだと、情報筋は伝えている。北朝鮮に住む親戚を持つ華僑は、これでようやく親戚を助けられると喜んでいるようだ。

ただ、いずれも訪問先は羅先に限られ、他の地域への立ち入りはできない。上述のパスポートも羅先専用のもので、他の地域には行けないという条件付きだ。また、羅先以外の地域からの出入国を認めるとの通知はないとのことだ。

自国民の帰国ですら認めてこなかった北朝鮮が、外国人の入国を認めるのか。実現するまではなんとも言えないだろう。