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北朝鮮の馬息嶺(マシンリョン)スキー場と言えば、金正恩政権初期の業績の一つだ。工事開始からわずか半年ほどで完成し、「馬息嶺速度」として自賛し、2018年に韓国の平昌(ピョンチャン)で開催された冬季五輪では、南北合同チームの練習場所としても使われた。

だが、最近の様子を伝える報道はない。あてにしていた外国人観光客がコロナ鎖国で全く入国できずにいるからだ。経済難の中で国民もスキーを楽しむような余裕がなく、閑古鳥が鳴いているのだろう。そんな中、スキー場のチケットが地域住民に配られたが、喜びの声はおろか逆に不満の声が上がっている。江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:北朝鮮ご自慢の「馬息嶺スキー場」ってどんなところ?

「スキー場を擁する道は正常運用せよ」「新年を迎え国が栄える雰囲気を高め、(朝鮮労働)党と国の愛の措置として住民に楽しい暮らしができるようにせよ」との国の方針が下されたのに伴い、江原道人民委員会(道庁)は、スキー場の運営方針を再検討。「スキー場を訪れる人民の笑い声が溢れることを望む党の愛に応える」として、道内の行政機関や企業所、学校に、馬息嶺スキー場の利用チケットを配布することにした。

ところが地域住民からは、笑い声どころか怨嗟の声が上がっている。それもそのはず、タダではないからだ。チケットは、大人1人9万北朝鮮ウォン(約1万5300円)で、子どもはその半額。これを道内の人々に押し付けたのだ。

コロナ鎖国と深刻な凶作による食糧不足で、餓死者が出るほどの状況になっているのが北朝鮮の現状だ。コメが15キロ以上も買える超高価なチケットを押し付けられた人々は、怒りをあらわにしている。

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「経済的に苦しいのにスキー場を利用するとなれば、先立つものが必要となるのに、国が国民に利用チケットを押し売りしてカネを吸い上げ、ひと儲けを企んでいるのではないか」(地域住民)
「国は人民の文化休養地であるスキー場が賑わうようにせよと言っているが、食べるものがなく飢えている国民がスキー場に行ったとして楽しめるのか」(同)

(参考記事:「生きるために家を捨て、山の中で狩りをする」北朝鮮の飢餓が深刻

また、「寒いのに体を温めるところもないスキー場のどこが楽しいのか」と、ウィンタースポーツなどに興味はないという声も聞かれるとのことだ。

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しかし、「党と国の愛の措置」を拒めば、どんな目に遭わされるかわからない。結局、借金をしてチケットを買わざるを得ない状況に追い込まれているという。