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北朝鮮当局は昨年5月、各地に国家食糧販売所を開設した。元々、市場でのコメなどの穀物の売買は禁止されていたが、1990年代後半の「苦難の行軍」以降、なし崩し的に行われるようになった。市場に奪われた穀物の流通、価格決定の主導権を取り返すのが、販売所開設の目的だ。

だが、思うように穀物が入荷しなかったり、質が悪かったり、買い占めて市場で転売して儲ける商人が現れたりするなど、当局の思惑通りに進んでいるとは言い難い状況だった。

(参考記事:穀物販売権の独占を目指すも後退を強いられた北朝鮮

これに対して、当局は超強硬策に出た。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

当局は、「個人が通りで穀物を販売する現象を徹底してなくすことについて」という指示を10月末と11月中旬の2回にわたって下した。現在、清津(チョンジン)市内では国家食糧販売所や国営商店以外の場所で個人(商人)の穀物販売が厳禁となっている。

安全員(警察官)が通りをパトロールしており、摘発されれば穀物はすべて没収されるが、度重なる取り締まりにも一向になくならない個人販売に業を煮やしたのか、ついにこんなことを言い出した。

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「密売して摘発されれば銃殺刑」

何らかの法律や命令の施行初期に、摘発された者に重罰を課すのが北朝鮮の常套手段だ。情報筋も「国が警鐘を鳴らそうと決心すれば、見せしめに本当に銃殺される可能性がある」と、安全員の話が単なる脅しではないかもしれないと述べた。

コメを売っただけで銃殺とは悪い冗談のようだが、極端な厳罰主義で、法が恣意的に運用され、最高指導者の鶴の一声で法律も何も曲げられてしまう北朝鮮では、別に珍しい話ではないのだ。

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さて、消費者の反応だが、当然のことながら悪い。

国家食糧販売所は以前、穀物を市場より安く販売していたが、今ではほとんど変わりがない。さらにこんな不都合も生じている。

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「その日暮らしを強いられている人々は、市場の帰りに道端の商人からツケでコメを買い、翌日の市場での儲けで返して、生き延びてきた。しかし、国家食糧販売所ではツケがきかない。こんな命令を貧しい人々が喜ぶわけがない」

さて、「コメを売ったら銃殺」という無茶苦茶な策を当局が本気で実行しようと考えているかは定かでないが、穀物流通の主導権奪還という本来の目論見がうまく行くかは不透明だ。あらゆる権力がカネに化ける北朝鮮だけあり、やがてワイロと引き換えに販売が黙認されるようになり、骨抜きにされてしまうかもしれないからだ。

(参考記事:ワイロ要求のネタに転落した金正恩の「反社会主義」取り締まり