金正恩の女囚28人の残酷体験「この悪夢はいつ醒めるのか」

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北朝鮮の金正恩総書記にとって教化所(刑務所)の受刑者は、思い通りにできる都合の良い存在であり、意のままに酷使している。

国営の朝鮮中央通信は2020年7月、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の金野(クミャ)郡に、数千ヘクタールの農地に水を供給する灌漑施設が完成したと報じた。同通信は「道内の活動家と道民の献身的努力によって」建設されたとしたが、現地のデイリーNK内部情報筋によれば、工事に動員されたのは28人の女性を含む郡の労働鍛練隊(軽犯罪者を収容する刑務所)受刑者たちだった。

現場では、人権侵害が横行した。上層部から工事の出来の悪さを指摘された労働鍛練隊の隊長は、ただでさえ少ない受刑者の食事を、トウモロコシ飯1杯から1匙に減らしたうえで激しい体罰を加えた。受刑者は次々に倒れたが、誰も抗議もできず、「この悪夢はいつさめるのか」と囁き合うしかなかったという。

仮に集団で抗議しようものなら、本物の「地獄」が待っているかもしれないからだ。

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このような出来事は、北朝鮮の至る所で、当たり前のように起きている。ただ最近は、より大仕掛けな企みが進行しているようだ。

同国の国会に当たる最高人民会議常任委員会は13日、金日成主席の生誕110周年と金正日総書記の生誕80周年に際して、「大赦(恩赦)」を実施すると決定。「内閣と当該機関は、大赦によって釈放される人々が安定して働き、生活することができるように実務的対策を立てる」と発表した。

恩赦の対象になった人々は、歓喜の声を上げたかもしれない。伝染病がはびこり栄養状態の劣悪な北朝鮮の刑務所に入れられれば、たとえ有期刑であっても、生きて出るのは簡単ではないからだ。

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だが実は、今回の恩赦には裏があった。

前出とは別の情報筋によれば、今回の大赦令と関連して社会安全省(警察庁)教化局から現場に、ある指針が下されたという。

その指針とは、今月30日をもって釈放される者が炭鉱、鉱山、農村など社会主義建設の難しく辛い部門に「嘆願」するように、思想事業(思想教育)を行なえというものだ。いわゆる「嘆願事業」だ。

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もちろん「嘆願」とは言葉ばかりで、誰も行きたがらない炭鉱や農村など生活環境のよくないところに強制的に送り込まれるものだ。嘆願事業の背景には炭鉱、農村における深刻な労働力不足がある。これら地域のあまりの生活環境の悪さ、貧困から一生抜け出せない絶望感から、逃げ出す人が後を絶たないのだ。

受刑者の中にはそういった地域出身の人々もいれば、都市部の出身者もいるだろう。特に韓流ドラマの視聴など、罪とも言えないような罪で収監されていた人々は、前述した女性受刑者たちと同様に、「この悪夢はいつ醒めるのか」と嘆いているかもしれない。