女子大生40人に鬼畜行為…金正恩「教育はタダ」の嘘と闇

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北朝鮮で、大学教授や大学当局、大学の朝鮮労働党委員会幹部など「学内の権力」によって学生らの人権が蹂躙される事件が後を絶たない。

昨年4月には、黄海北道(ファンヘブクト)にある沙里院(サリウォン)工業大学で、党書記の地位にあった50代の男性が、40人もの女子学生に権力型性犯罪を働いていたことが暴露された。

また前年には、首都・平壌の総合レジャー施設で組織的な売春を行っていたグループが摘発され、一味に平壌音楽舞踊大学や平壌演劇映画大学の教授らが加担していたことがわかった。事件に巻き込まれた学生は数十人とも200人とも言われる。

この事件では、金正恩総書記の直接の命令により、首謀者たちが公開処刑されている。

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どうして、このような事件が続発するのか。理由はカネだ。

無償教育制度は、金正恩氏が誇る「社会主義の優越性」の一つだ。幼稚園から大学に至るまで、すべての学校の学費が無料というものだ。特にエリート学生には学業のために無限の機会が与えられることになっているが、これはまったくのタテマエに過ぎない。

経済難で国家の財政がひっ迫する中、教育当局は大学に対して頻繁に「経済課業(ノルマ)」の指示を下し、学生たちは様々な名目で金品を納めることを強いられていた。また、教授への付け届けなど、北朝鮮での学生生活は何かと物入りだ。

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そのような状況の中、こんどは平壌にある教育大学の最高峰、金亨稷(キム・ヒョンジク)師範大学に通う30代の男子学生であるキム氏が、空き巣の容疑で逮捕される事件が起きた。

デイリーNKの現地情報筋によると、母ひとり子ひとりの貧しい家の出のキム氏は、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊部隊での兵役を終えた後、2019年に金亨稷師範大学に入学した。北朝鮮では、兵役中に大学への推薦を受け、除隊後に入学することから、30代の学生は珍しくない。

だが、苦学生の彼を待っていたのは、駅前や市場で運び屋をして手間賃を得て生活費を稼ぐ日々。それすらもコロナ不況で難しくなってしまった。

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冬休みを利用して故郷の咸興(ハムン)に戻っていた彼は、冬休みの課題の解決に頭を悩ませていた。課題と言ってもレポート作成などではない。学校への上納金の調達だ。

悩んだ末に彼は、元日に酒を飲んで酔っ払って寝入っている人が多いだろうと考え、空き巣に入ったのだった。ところが、あっという間に犯行がバレ、翌日深夜に咸興市安全部(警察署)に逮捕されてしまった。

取り調べでキム氏は、母校の金亨稷師範大学から各種社会的課題費用として毎週50ドル(約5800円)以上の現金を要求されていたこと、上納できていないカネが400ドル(約4万6400円)以上溜まっているなどと、犯行の動機と母校の金権体質を語った。

「勉強よりカネを稼ぐことに神経を使わざるを得ない状況だった」(キム氏)

情報筋によれば、キム氏は特殊部隊出身であることや諸々の情状が酌量され、厳しい罪には問われない可能性が高いという。だが今回も、問題の根幹には何ら手が付けられることはないだろう。