北朝鮮の特殊部隊が中朝国境で無差別射撃、男性1人死亡

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社会安全省(警察庁)は昨年8月、国境地帯の住民に対して、国境沿いに許可なく接近すれば、人であろうが動物であろうが無条件で銃撃するとの布告を出した。それ以降、人間、野生動物を問わず発見され次第撃ち殺される事態が続発している。

中でも、国境警備のために派遣された朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊部隊の暴風軍団は、素行が悪く、次から次へと人や動物を射殺しており、地元民に恐れられている。

そしてまた、食糧難の中、食べ物欲しさに国境を超えた人が命を落とした。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、亡くなったのは会寧(フェリョン)に住んでいた50歳男性。先月中旬に行方不明になっていた。北朝鮮、中でも中国との国境に接する地域では、行方不明は単に消息がわからなくなったことだけを意味しない。脱北の疑いがかけられる政治事件として扱われるのだ。実際、地元の保衛部(秘密警察)も近隣の住民も、男性が脱北したものと見ていたが、証拠はなかった。

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男性はやはり脱北していた。コロナ鎖国で悪化する食糧事情に耐えかねて、保衛部と国境警備隊の目をくらまして、密かに川を渡って中国の親戚の家に行っていたのだ。目と鼻の先を流れる川を渡りさえすれば、普通に食べ物がある。

そのまま居座って中国で働く手もあっただろうが、男性は何らかの事情で帰国することを決めた。そして今月1日、密かに川を渡って北朝鮮に戻ろうとしていたところを、暴風軍団に見つかり、無差別射撃を受け射殺された。事前警告の有無はわかっていない。

上述の通り、暴風軍団が評判が悪く、現在国境沿いに建設中のコンクリート壁と高圧電線が完成し次第、撤収することになっているが、建設の遅れが伝えられており、未だに駐屯を続けているようだ。

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遺体はすぐさま保衛部に引き渡され、火葬された上で遺族のもとに戻った。保衛部は遺族に「国家的最大非常防疫体系に従ったもの」「がたがた言わずに従え」と有無を言わせない態度だったという。

朝鮮半島では儒教の影響が強まった朝鮮王朝時代以降、土葬が行われてきた。北朝鮮では現在も火葬に対する抵抗感が強く、「二度殺すのに等しい」と言って忌み嫌われている。韓国ではこの20年で火葬を選ぶ人が急増したが、北朝鮮では今も土葬が一般的だ。

脱北そのものが反逆行為で、防疫方針を破ったことも重罪であることから、遺族は泣くに泣けない状態だという。事件の一部始終を目撃した人々から、あっという間に噂が広がった。市民は「重大事件」だとして、お互い注意しようと囁いているとのことだ。

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