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子供達にとっては、待ちに待った夏休み。夏休みをむかえて全国の避暑地には休暇を楽しむ家族でにぎわう。あちこちでは子供たちのための公演も開かれる。

「気晴らしに娘と出かけてみようかしら」そう思っていたところ娘が「オンマ(ママ)と一緒に何か公演が見たい」といので子供向けのミュージカル『シンデレラ』を見に行った。娘は、久しぶりに私と見た公演が面白かったのか、笑顔を絶やさなかった。

満面の笑みを浮かべる娘を見ながら平壌で開かれている『アリラン祭』のニュースを思い浮かべた。周りから『アリラン祭』についてよく聞かれるのだが、その度に忘れられないあの友人の顔を思い出す。

疲れた生活の中でも、いつも楽天的に生きていこうと努めるあの友人の姿が忘れられず、こういった形だけでも私の気持ちを伝えたい。

『顔はいつも笑っていても心ではいつも泣いている』私の友にXXXへ

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心の中でいつも一緒の友よ。いま、どうやって過ごしているのだろうか。お互い、涙を流しながら別れてもう3年がたつちますね。今朝、『アリラン祭』が開幕したと聞きましたが、あなた達のように、心に傷を負った人々が、いてほしくないと切実に思います。

娘と公演を見ながら、ずっとあなたのことを思っていました。娘は「オンマ、顔色が悪いけど、どうかしたの?」と尋ねてきた。

「オンマの友達の姪っ子の話なの。その子のお母さんは末期癌だったの。でも、『アリラン祭』に参加して毎日練習をしていたから、まともに看病もできなかったの」

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ちょっと悩んだけど、娘には私が胸を痛めている理由を聞かせた。

「その子は、初めて参加する公演だから、なかなか上手くできなかったけど、できなかったら指導教官に体罰を受けるから、大変だという素振りも見せられなかった。練習は4月から始まって、他の子供たちも疲れて疲れて、体力はどんどん落ちていったのよ。

練習は大変だったけど、その子はお母さんの看病までする孝行娘だったわ。でも、公演日が近づくにつれ、練習も厳しくしなり、看病する時間もどんどんなくなっていく。その子のお母さんも自分のために、娘の練習が進まないことを心配してか、病状が悪化するのに起きたりもしたわ。

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そうこうしているうちに公演日の8月が近づいた。子供を気遣うお母さんの気持ちを知らないまま、その子は公演に参加した。でも、公演の真っ最だったある日、突然、担任の先生がその子を訪ねてきたの。お母さんが危篤だった。その子も何も言えなかったでしょう。

でも、危篤だとわかってもその子はお母さんの許へは行けなかった。その子は、背景隊の中央のポジションだった。そこが空けば、公演自体に支障が出るし、それだけでなく思想的な批判も受けて、自分の未来がないことをその子もよく知っていたからよ。

その子は、公演中にずっと泣いていたんだって。公演が終わって家に帰ったときは、もうお母さんは息を引き取っていた。お母さんの死に目にあえなかったという罪悪感に苦しむその子を抱きながら、その子の叔母はずっと涙を流していたのよ」

私の話に娘はうつむいた。その気持ちはあなたにもよく分かるでしょう。

私の大切な友よ。『アリラン祭』であなたのような悲しい思いをする人が、これ以上生み出されないことを祈って、いつか逢えることを約束しましょう。

それまで健康でいることを願っています。